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私たちの歪んだ政治

Posted March. 19, 2025 08:27,   

Updated March. 19, 2025 08:27


「君たちは、当然の君たちの分を奪われても悔しいとは思わなかったし、また不義の前に屈服しても、恥ずかしいとは思わなかった。そんな君たちが、これから大人になって作る世の中は、想像するだけでぞっとする!」

新しく赴任したキム先生(チェ・ミンシク)は、試験の不正を摘発し、これまで自分だけの王国を建設し、子どもたちの上に君臨してきたオム・ソクデ(ホン・ギョンイン)の独裁を一瞬にして崩した後、このように話す。そして子供たちに、オム・ソクデが行った過ちを一つ一つ告発させる。

李文烈(イ・ムンヨル)の小説を映画化した「私たちの歪んだ英雄」は、ある田舎の小学校で起きたオム・ソクデという暴力的人物の横暴を通じて、独裁と民主化、そして変節に対する政治的喩えを盛り込んだ作品だ。ところが、オム・ソクデを懲らしめたキム先生によって真の革命と民主化は実現ししたのだろうか。そうではない。それは子供たち自らの力ではなく、先生の体罰というまた別の暴力によってなされたものだからだ。

実際、中年になって喪家に集まった当時の子供たちは、依然として変わっていない。オム・ソクデの右腕の役割をしたドンギュは、タクシー運転手をしながら依然として虚勢を張り、下っ端だったが、状況が変わるとオム・ソクデの不正を先頭に立って打ち明けたマンスンは、日和見主義者の成金になった。当時、生活部長をしていた子供は刑事になり、甚だしくはこのように不平を言う。「最近のような時は、オム・ソクデのような奴がしっかりと政治をしなければならないのに…」

何よりも衝撃的なのは、国会議員バッジをつけて喪家に登場し、お世辞が身についたような姿を見せるキム先生だ。「あまりにも変わってしまった。出世って何なの…」。キム先生に対するマンスンの独り言は、昨今の弾劾政局を思い出させる。若くして法の正義を叫んでいた彼らが、憲法を否定し、これを正当化することに追われている現実ではないか。私たちの歪んだ政治現実だ。

「あまりにも変わってしまった。出世って何なの…」(パク・ジョンウォン「私たちの歪んだ英雄」)