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「ホームレスの聖地」と描写された3・1運動の聖地「タプコル公園」

「ホームレスの聖地」と描写された3・1運動の聖地「タプコル公園」

Posted March. 01, 2025 08:48,   

Updated March. 01, 2025 08:48

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ネットフリックスのシリーズ「イカゲーム」シーズン2の第1話の主な舞台は、ソウル鍾路区(チョンロク)のタプコル公園だ。「めんこ男」(コン・ユ)は、この公園のホームレスに近づき、「小さなプレゼント」と言って宝くじとパンのどちらかを選ばせる。ほとんどはパンを選ぶ。ドラマは、まるでホームレスが虚しく「一発」を追いかけて身を滅ぼした人たちであるかのように歪曲した。しかし、もっと残念なのはタプコル公園の描写そのものだった。

「めんこ男」は、タプコル公園の八角亭の前でパンを踏みつけた。その場所は、106年前の3月1日に独立宣言書が朗読された3・1運動の聖地だ。憲法の前文によると、大韓民国の法統が始まった場所だ。しかし、昨年下半期に世界の人々が最も多く見た(8700万回視聴)このドラマでは、この公園は大昼間にホームレスがあちこちに寝転んでいる空間として描かれた。これは実際とは異なる。公園のすぐそばには無料の炊き出しがあり、社会にとって甘露水のような役割を果たしている。しかし、記者が最近何度か公園を訪れたが、公園内でホームレスのような人は見つけることができなかった。

いずれにせよ、人々の心に定着しているタプコル公園のイメージは、ドラマの描写とあまり変わらないようだ。記者が周囲にこのような話をすると、「実際にそうではないか」、「タプコル公園で3・1運動が始まったこと自体知らなかった」という反応が返ってきた。

タプコル公園は1年に1度、3・1節記念式が行われる時以外は、事実上、死んだ空間と言っても過言ではない。公園内には今はなくなった旧文化財指定番号「国宝2号」の円覚寺址十層石塔がある。朝鮮時代の石塔の最高傑作と言われているにもかかわらず、知る人はあまりいない。昼休みに休憩しているサラリーマンもあまり見かけない。過去、この公園が「私たち庶民の憩いの場」、「ソウルの真ん中で市民と共に過ごす公園」などと認識されていたのとは雲泥の差だ。

このようになった大きな原因の一つが、公園を「島」にしている塀だ。特に公園の北側と東側の塀の向こうの路地は、塀で視界が遮られ、路上放尿と飲酒問題が長年深刻だった。先月25日にも、昼食時に2人の男性が殴り合いになり、警察が止めに入ったことがあった。

1897年に初の近代式公園として作られたタプコル公園は、昔の写真を見ると塀があった。あの時代に塀のない開かれた公園を想像することは難しかっただろう。しかし、鐘路区庁によると、現在の塀は、1960年代に建てられた「パゴダアーケード」商店街を取り壊した際、80年代初めにすべて新しくつくったものだ。遺産的価値がないも同然だ。公園が南側に拡張され、位置も当初とは随分変わった。鐘路区庁は昨年、西側の塀の一部を壊して発掘調査を行ったが、元の塀の遺構は見つからなかったという。

公園の原型を生かすために、あえて新しい塀をつくって公園を孤立させる理由はない。元の塀がどのようなものだったのか確認する価値はあるだろうが、背の低い樹木などで境界を示す程度に復元すれば十分だろう。塀を取り壊せば、石塔など内部の国家遺産の保護がより重要になるだろうが、今現在も出入りが自由なので、新たな安全問題が発生する可能性は低い。鍾路区は、長期的にタプコル公園を開放型市民公園にする考えだ。公園を再び市民の日常生活に取り入れ、3・1運動の精神を感じられるようにすることが重要だろう。