
トランプ米大統領は7日、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記とつながりを持つことになるだろう」とし、「彼と仲良くしていることは世界にとっても大きな財産となる」と明らかにした。北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と呼び、米朝対話を推進する考えを明らかにしてきたトランプ氏が、再び北朝鮮にラブコールを送ったのだ。
トランプ氏は7日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで石破茂首相と首脳会談を行った後、記者会見でこのように述べた。日米首脳の共同声明には、「北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを改めて確認した」とし、「北朝鮮に対応し、地域の平和と繁栄を堅持する上での米日韓の3ヵ国パートナーシップの重要性を確認した」という文言が盛り込まれた。先月20日の第2次トランプ政権の発足後、公式外交文書に「北朝鮮の完全な非核化」が明記されたのは初めて。
「北朝鮮の完全な非核化」は、昨年4月のバイデン前大統領と岸田文雄前首相との会談など、これまでの日米共同声明に盛り込まれたものと同じ表現だ。トランプ政権が今回の共同声明にこの表現を盛り込んだことをめぐり、一部では、北朝鮮の非核化の原則を放棄してまで米朝対話を急がないという立場を示したとみられている。首脳会談に先立ち、トランプ政権当局者は、「タンゴを踊るには2人が必要だ」とし、米朝対話のためには北朝鮮の呼応が必要だと強調した。
ただし、トランプ氏が今後、北朝鮮を実際に対話のテーブルに引き出すために、保有する核兵器の凍結や、数を減らす核凍結・核軍縮などの「スモールディール」を提案する可能性は依然として残っているという観測が流れている。国立外交院のバン・キルジュ助教授は、「トランプ氏が共同声明に北朝鮮の非核化を明記したのは、日本の在日米軍駐留経費負担の増額と米国産液化天然ガス(LNG)輸入拡大措置に対する応答の性格」とし、「トランプ氏は非核化を最終目標としながらも、北朝鮮に対して『韓米合同軍事演習の縮小』など様々な対話条件を提示する可能性がある」と予想した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、日米首脳会談翌日の8日、「核を含む抑止力強化に向けた新たな計画事業」に言及し、核武力の高度化の方針を明らかにしたと、朝鮮中央通信が9日、伝えた。正恩氏は、トランプ政権や日米首脳会談の結果を非難する発言はしなかった。
正恩氏が言及した「新たな計画事業」について、韓国政府内外では、核兵器の高度化を骨子とした北朝鮮の「国防力発展5ヵ年計画」が今年で終了するため、後続措置に乗り出したという見方もある。ロシアとの合同訓練などを念頭に置いたものという分析もある。韓国軍内外では、北朝鮮が7回目の核実験を控えて理由づくりをしているという観測も流れている。
コ・ドイェ記者 ユン・サンホ軍事専門記者 yea@donga.com