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梁文鋒にあって、私たちにないもの

Posted February. 06, 2025 08:58,   

Updated February. 06, 2025 08:58


先週、「ディープシーク・ショック」がグローバル株式市場を揺るがした。オープンソースを基盤に投資コストを95%削減し、主要ベンチマーク(性能テスト)でチャットGPTを上回ったディープシークの出現をめぐって、欧米世界は「スプートニク・モーメント」と衝撃を隠せなかった。 

ディープシークを成功に導いた創業者の梁文鋒CEO(最高経営責任者)にもスポットライトが当たる。昨年11月、現地の専門メディア「チャイナトーク」に梁氏との長文インタビューが掲載された。まだ世間の注目を浴びる前の梁氏の考えや抱負が書かれている。いくつかの文章を通じて、梁氏にあって私たちにないものは何かを振り返ることができる。

「ほとんどが名門大学を卒業したばかりか、博士課程の若者たち」と言うように、ディープシークの約150人の従業員は「2030」世代が主流だ。ほとんどが職業キャリアのない新入社員だ。このような採用哲学について、梁氏は、既存の経験がある人たちは定められたルートに沿って考えるためだと説明する。

一方、長年の労働硬直と人手不足で新規採用さえなくなったのが韓国企業の現状だ。東亜(トンア)日報が4大グループの持続可能経営報告書を基に従業員の年齢層を分析した結果、サムスン電子の従業員のうち20代以下の割合が2023年に初めて30%を下回った。残りのグループ代表系列会社もすでに30%を下回っている。創意と革新ではなく、当面の組織維持のために投入可能なキャリア採用への依存度だけが高まっている。

「最高の人材は、世界で最も困難な課題を解決することに最も惹かれる」。梁氏と共に注目されているのは、中国の科学人材だ。数学の天才だった梁氏自身だけでなく、ディープシーク開発で中心的な役割を果たした29歳の羅福莉氏、ムーンショットAIの楊植麟氏ら国内の理工系スターの継続的な流入と報酬が機能する仕組みだ。理工系の進路の不確実性で医学部偏重が定着し、科学人材育成のための百年構想はおろか、研究開発(R&D)予算すら削減している韓国国内の人材環境が改めて痛感させられる。

「私たちは、中国が無賃乗車者ではなく、貢献者にならなければならないと信じている」。梁氏は23年にディープシークを創業し、「人間レベルの人工知能(AI)を作る」という夢を掲げた。また、これまで欧米が主導してきた先端産業への無賃乗車をやめ、根本的な技術革新を自国で成し遂げるという壮大な目標を抱いた。最終的に物質的な報酬を超えた一個人の夢がディープシークのスプートニク・モーメントにつながったのだ。報酬と待遇によってサムスンからSKに、あるいはその逆に、あるいは海外企業に名刺を変え、「他人に負けない年収」だけが唯一の誘因になってしまった韓国の職場文化には、そのような夢がなくなって久しい。

しかし、私たちにもそのようなものが存在した時期があった。李海珍(イ・ヘジン)、金範洙(キム・ボムス)氏がサムスンを退社し、第1世代の情報技術(IT)ベンチャー神話を開いた。金正宙(キム・ジョンジュ)氏が小さなオフィステルの机の上で韓国オンラインゲームの神話を書いた。今、梁氏にはあるが、私たちにないものはもともとなかったのではなく、ある時、私たちが失ったものだ。ディープシーク・ショックで米国が握っていた高コストAI産業構図の亀裂は明らかに始まった。これを警鐘として受け止め、韓国の起業家精神を復活させる火種と機会にしなければならない。