
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が3日夜、「非常戒厳」を宣布した直後、政治家の逮捕とそのための軍投入を直接指揮した情況と証言が出た。時計を45年前に戻し、国内外に大きな衝撃を与えた深夜の戒厳宣布が、「野党に警告するためだった」という尹大統領の当初の説明に真っ向から反することになる。
洪壮源(ホン・チャンウォン)国家情報院第1次長は6日、国会を訪れ、慎聖範(シン・ソンボム)国会情報委員長との面談で、「尹大統領は、戒厳宣布直後の3日午後10時53分、私に執務室のインターフォンで電話をかけ、『この機会にすべて捕まえて整理せよ』と言い、『国情院にも対共捜査権を与えるので、まず防諜司令部を支援せよ。資金なら資金、人員なら人員、無条件で支援せよ」と指示したと、面談に同席した最大野党「共に民主党」の金炳基(キム・ビョンギ)議員が伝えた。
洪氏はその後、尹大統領の沖岩(チュンアム)高校の後輩である呂寅兄(ヨ・インヒョン)国軍防諜司令官に電話をかけ、尹大統領の指示を伝え、呂氏は逮捕対象者名簿を読み上げ、逮捕のための位置追跡を要請した。逮捕対象者名簿には、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長をはじめ、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表らが含まれていたと、金氏は明らかにした。ただし洪氏は、尹大統領の指示が「話にならない」と考えて履行せず、5日に辞表を出したと説明した。
韓氏は同日午前、緊急最高委員会を招集し、「尹大統領が主要な政治家らを反国家勢力という理由で高校の後輩である呂司令官に逮捕するよう指示した事実、大統領が政治家を逮捕するために情報機関を動員した事実を信頼できる根拠を通じて確認した」とし、「呂司令官がそうして逮捕した政治家たちを果川(クァチョン)の収監場所に収監しようとした具体的な計画があったことも把握した」と述べた。呂氏は同日、東亜(トンア)日報に、尹大統領が戒厳令宣布直後に盗聴防止の携帯電話に電話をかけてきて話をしたとしながらも、「大統領から政治家の逮捕や拘留の指示を受けた事実はない」と主張した。趙太庸(チョ・テヨン)国家情報院長は、尹大統領から直接政治家逮捕の指示を受けたことはないと述べた。
尹大統領が戒厳軍の国会進入状況を直接把握したことも明らかになった。戒厳令直後、第707特殊任務団など特殊部隊で構成された戒厳軍を国会などに送り込む役割を担ったクァク・ジョングン特殊戦司令官は、「尹大統領が作戦遂行中に電話をかけ、『第707特殊任務団の部隊がどこまで移動しているのか』と尋ねた」と明らかにした。戒厳令当時、国会本庁の外郭警戒任務にあたっていた李鎮雨(イ・ジンウ)首都防衛司令官は、「尹大統領が電話で『そこの状況はどうか』と尋ねた」と証言した。
申圭鎭 newjin@donga.com






