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「通常賃金の項目ごとに最高裁で決める国がどこにあるのか」

「通常賃金の項目ごとに最高裁で決める国がどこにあるのか」

Posted June. 18, 2024 09:04,   

Updated June. 18, 2024 09:04


曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁長官)は、「会社のすべての賃金項目ごとに、最高裁全員合議体に持ってこなければならない国が果たしてどこにあるのか」とし、通常賃金の関連立法が急務だと促した。曺氏は、東亜(トンア)日報との単独インタビューで、「賃金項目が一つできる度に、5年ほど経てばそれが『通常賃金かどうか』と言われる」と指摘した。さらに、「『労働者が受け取るすべての賃金は、通常賃金だ』とか、通常賃金の範囲を明確にする立法措置を行うことが急務だ」と強調した。

通常賃金は、休日・残業手当など様々な法定手当てを算出する基準になり、退職金にも影響を及ぼしかねない。算定方式によって企業と労働者がやり取りする賃金の金額が変わるため、労使間では敏感な問題だ。ところが労働基準法の施行令には、「労働者に定期的かつ一律的に所定労働または総労働に対して支給することに定めた金額」とだけなっており、細部的事項はない。規定が不明確なため、賞与金や支援金などが通常賃金なのかを巡り、紛争が絶えない。

最高裁全員合議体は2013年、通常賃金について、「定期的、一律的、固定的に支給される賃金」という基準を提示したが、企業ごとに事情が異なり、解釈を巡り労使が対立している。福祉ポイントのように新しく作られた項目が通常賃金に該当するのかも、訴訟の対象となる。その大半が利害関係が鋭く分かれており、法的争点が複雑な事件であるため、最高裁判所の小部で結論を出すことができず、全員合議体にかけられることが多い。

労働者派遣の適法性を巡る労使間の異見も、対立の素材になっている。派遣法は、警備・清掃・駐車管理など派遣対象業務を32件に限定しているが、産業現場の変化についていけない法という批判が出ている。派遣と請負の境界も不明確だ。このため、13年間がかかった現代(ヒョンデ)製鉄社内下請け会社の労働者地位確認訴訟のように、労使が裁判にエネルギーを尽くす事例が続出している。裁判所にも負担になる。通常賃金および派遣労働者関連の長期未解決事件が1000件近く溜まっており、裁判遅れの一原因になっている。

問題を根本的に解決する対策は、法を明確に整備し紛争の余地を最小化することだ。曺氏が、政府で推進する労働裁判所設置について協議するとしながらも、「通常賃金と派遣労働に関する立法措置もなされれば、裁判所の判決ははるかにはやくなるだろう」としたのも、こういう趣旨からだっただろう。これらの事案は労働者処遇と直結する民生問題でもある。与野党の政界が司法府首長の訴えを重く受け止め、関連法律の改正に拍車をかけなければならない理由だ。