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「私たちの地域にはダメ」、総選挙を前に「ニンビー」を煽る与野党

「私たちの地域にはダメ」、総選挙を前に「ニンビー」を煽る与野党

Posted April. 03, 2024 09:06,   

Updated April. 03, 2024 09:06

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4月10日の韓国総選挙を前に、一部の小選挙区候補が有権者の票心に便乗して政府・民間事業の中止を求めている。京畿道高陽市(キョンギド・コヤンシ)では、昨年3月に許可されたデータセンターの建物の新築に対する住民の反対が続くと、与党「国民の力」と最大野党「共に民主党」の候補が高陽市長に事業の職権取り消しまで要求している。食品医薬品安全処傘下の機関が推進するソウル江東区(カンドンク)の東部依存症リハビリセンターの設立をめぐっても同様のことが起きている。両党の候補は、「麻薬撲滅は必要だが、住民の同意なしに小学校の数百メートル隣にこのような施設は困る」と位置選定の白紙化を求めている。

「必要なのは確かだが、うちの裏庭にはダメだ」という「ニンビー(NIMBY・not in my backyard)心理を一部の住民が持つことは理解できる。実際、放射性廃棄物処理施設やごみ埋め立て場などをめぐって、韓国社会は30年以上にわたり困難を経験してきた。しかし、その30年は対立解消のノウハウを蓄積する過程だった。汚染と嫌悪を減らす方向に技術を発展させ、恩恵と負担を少数に集中させるのではなく、多数が分かち合う共同体モデルと原則を作った。だからこそ、単に得票に役立つかどうかだけを考え、漠然とした不安心理を利用するような候補の行動は批判されて当然だ。

高陽市の住民は、サーバー・記憶装置などを置くデータセンターから出る電磁波や騒音、ヒートアイランド現象などを懸念している。高陽市は関係機関20ヵ所と協議し、「問題ない」と結論づけたと説明する。同じ反対に直面した安養(アンヤン)市の依頼調査では、電磁波が50メートルの外では基準値の1万分の1、室内では10分の1と評価された。ならば、総選挙候補がすべきことは、科学的根拠資料を確認し、有権者の誤解を解くことではないだろうか。江東区の状況も同様だ。私たちの隣人かもしれないリハビリ治療対象者の空間はどこであれ作らなければならない。2つの地域の事例を見ると、国家経営に参加するという候補の認識と態度が残念だ。

韓国社会は、仁川(インチョン)ゴミ埋め立て場、全羅北道扶安郡(チョンラプクト・プアングン)の放射性廃棄物処理場、京畿道河南(キョンギド・ハナム)の熱併合発電所など、国策・地域事業で対立のコストを払った。政府の意思疎通不足や外部勢力の介入などが複合的に作用したせいもあった。同時に、反発の初期に必要な説明が正確にできなかったため、誤解と対立を大きくしたのも事実だ。国政の一翼を担う国会議員候補らしく、やるべきこととやってはいけないことをよく区別しなければならない。より大きな視野で事案を点検し、必要であれば多数の世論に立ち向かう勇気を出さなければならない。成熟した有権者は、このような過程で誰が本当のリーダーであるかを見極めることができる。