
「ロシアでウクライナ戦争に反対しているのは私だけではない」
15~17日に実施されるロシア大統領選挙に出馬しようとしたが、4日、最高裁判所が出馬を認めず大統領選への不参加が決まったボリス・ナデジディン元下院議員(61・写真)が、ロシアの独立系インターネットメディア「メドゥーザ」に語った言葉だ。ナデジディン氏は、最高裁の判決で出馬は挫折したが、反戦運動を続ける考えを明らかにした。
今回の大統領選挙では、事実上競争相手がいないプーチン大統領が5期目に成功するとの見通しが支配的だ。これまでプーチン氏の唯一の政敵であり、ウクライナ戦争に反対していた野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が先月疑問死した後、ロシア内の野党人物の種が枯渇したという見方もある。
物理学者出身のナデジディン氏は、ナワリヌイ氏とは違って、プーチン政権の権威主義統治に対する直接的な批判は控えながらも、戦争の終結を粘り強く訴えている。ナデジディン氏は開戦7ヵ月後の2022年9月、NTV放送に出演し、終戦と平和交渉を促したことで有名になった。昨年10月に大統領選出馬を宣言した際にも、プーチン政権がウクライナ戦争を指す「特別軍事作戦」に言及し、「この作戦は致命的な誤りだ」と批判した。
ロシアでは、院外政党候補が大統領選に出馬するには、全国85の行政区域のうち40ヵ所以上で計10万人以上の支持を得なければならない。このため、ナデジディン氏は戦争に反対しているが、プーチン政権を恐れてそれを表に出せない若年層、辺境地域の有権者を集中攻略した。これにより、全国各地で毎日数百人が並んで署名に参加し、極東の極寒で有名なサハ自治共和国のヤクーツクでは、氷点下40度を超える厳しい寒さにもかかわらず、ナデジディン氏を支持する人々が列をなして待機した。
しかし、選挙管理委員会は先月8日、「ナデジディン氏が受け取った署名のうち、誤謬率が15%で許容値(5%)を超えた」とし、候補登録を認めなかった。ナデジディン氏が反発すると、最高裁も4日、「選管委の決定は正当だ」と判決を下した。
ナワリヌイ氏の死に対する欧米の非難は続いている。4日、欧州連合(EU)など43ヵ国は国連人権理事会に声明を提出し、「プーチン政権は、ナワリヌイ氏の突然の死に対する独立的かつ透明な国際調査を許可するよう求める」と要請した。
イ・ジユン記者 asap@donga.com