
10年ぶりに韓国を訪れたメタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は28日、韓国国内の主要企業家たちに相次いで会い、グローバル人工知能(AI)産業で韓国との協業の可能性について議論した。同日、ザッカーバーグ氏は、三星電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長やLG電子の曺周完(チョ・ジュワン) 社長など、大手企業の経営者だけでなく、国内スタートアップの代表らとも会った。29日は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を表敬訪問する。
電子業界によると、ジャックバーグCEOは同日午後12時ごろ、ソウル永登浦区汝矣島(ヨンドゥンポグ・ヨイド)のLGツインタワーに到着し、LGの権峰奭(クォン・ボンソク)最高運営責任者(COO・副会長)やLG電子の曺周完CEO(社長)、LG電子の朴亨世(パク・ヒョンセ)HE事業本部長(社長)らと昼食を共にした。
LG電子によると、同日の会議では、両社の次世代拡張現実(XR)機器の開発と関連した事業戦略の議論が行われた。曺社長は、メタの複合現実(MR)ヘッドセット「クエスト3」とスマートグラス「レイバンメタ」を直接着用してメタの先行技術の実演に関心を持って見守った。メタの次世代大規模言語モデル「ラマ」にも注目し、オンデバイスAIのシナジーの創出策についても議論した。
これに先立って昨年末、LG電子は組織再編においてHE事業本部直属にXR事業担当を新設し、XR新事業の推進に本格的に参入した。曺社長は今年初め、世界最大の情報技術(IT)・家電見本市「CES2024」の記者懇談会で、「PCを皮切りに、MRやXRの機会を伺っている」とし、「パートナーシップを通じてXR事業機会を確保し、協議している」と言及したりもした。
LGとの会合が終わった後、ザッカーバーグ氏は、直ちにソウル江南区のメタコリア事務所に向かい、午後3時頃、国内XRやAIスタートアップに会った。この席には、韓国スタートアップの代表や関係者約10人が参加し、ザッカーバーグ氏と20分ほど懇談会を行った。ザッカーバーグ氏は、メタのXRおよびAI事業の方向性について話し、「今後もこのような良い機会をさらに作っていきたい」と話したという。
この席に参加したデブズユナイテッドゲームズのチェ・ミンギョン代表は、「ザッカーバーグ氏がXRとAI産業に非常に多くの期待を寄せていることが感じられた」とし、「AIとXRが互いに補助する技術であり、これらの技術が合わさればメタバースが実現するという期待は10年前も今も変わっていないようだ」と話した。
同日、最後の日程として、ザッカーバーグ氏は、ソウル瑞草区(ソチョグ)の三星電子瑞草社屋を訪れた。三星電子の李在鎔会長をはじめとする経営陣に会って、AI半導体やXRなど未来事業をめぐる協力案について話し合ったという。李会長とザッカーバーグ氏はハーバード大学の同窓生で、個人的に連絡を交わすほど親交があるという。これに先立って1日(現地時間)、ロイター通信などによると、メタはエヌビディアへの依存度を減らすために、独自に開発したAIチップを年内にデータセンターに搭載する計画だ。これと関連して、ザッカーバーグ氏の訪韓前に、両社は三星電子のファウンドリ(半導体の受託生産)ラインのある京畿器興(キョンギド・キフン)工場の訪問も検討したという。
これに先立って、2016年に仮想現実(VR)ウェアラブル機器の合作「ギアVR」を出した両社が、XR市場で再び手を組む可能性も予想される。当時、三星電子の新製品公開行事「ギャラクシーアンパック」では、ザッカーバーグ氏が直接舞台に立ち、「昨年夏、ジェイ・リー(Jay Lee・李会長の英語名)と散歩をしながら、どうすればできるだけ多くの人がVR経験をできるのかについて熟考した」と明らかにした。昨年末に発売されたメタの「クエスト3」と最近のアップルの「ビジョンプロ」等、XR機器の新市場が開かれている中で両社の同盟が再び実現するかに注目が集まっている。
ザッカーバーグ氏は29日まで韓国に滞在し、尹錫悦大統領の表敬訪問などの日程を追加でこなす予定だ。尹大統領は29日午前、龍山(ヨンサン)の大統領室でザッカーバーグ氏に会う予定だという。尹大統領がザッカーバーグ氏に会うのは初めて。尹大統領は、AI半導体などの先端技術分野に対する政府の投資拡大の意志をザッカーバーグ氏に明らかにし、韓国国内企業との協業を促すものとみられる。大統領室の関係者は、「人工知能関連の協力議論など、様々なテーマで対話がなされるかもしれない」と話した。
ザッカーバーグ氏は27日夜、妻のプリシラ・チャン氏とともに専用機で日本の羽田空港からソウル江西区(カンソグ)のソウル金浦(キンポ)ビジネス航空センターに入国した。Tシャツの上にムスタングを羽織ったザッカーバーグ氏は、空港に集まった取材陣に笑いながら手を振った。氏は2泊3日間、韓国に滞在する。
郭道英 now@donga.com