Go to contents

「中国に60%の関税を検討」、トランプ発の貿易戦争に韓国は備えているか

「中国に60%の関税を検討」、トランプ発の貿易戦争に韓国は備えているか

Posted January. 30, 2024 08:18,   

Updated January. 30, 2024 08:18

한국어

ドナルド・トランプ前大統領が今年11月の大統領選挙で勝利し、政権を担当することになれば、中国を敵性国家と位置づけ、中国産製品に対して60%の関税を課す案を検討していると、米メディアが報じた。米国が輸入している外国産製品に対して10%の追加関税を課すとした従来の方針に比べて、中国に対してははるかに攻撃的な関税政策だ。トランプ氏の当選でこのような政策が実現すれば、中国が報復に乗り出し、米中間の貿易戦争が全面戦争に突き進む可能性が高い。

米紙ワシントンポストによると、2018年と2019年のトランプ大統領在任中に、中国産製品数千品目に課せられた25%の2倍以上の高率関税を、トランプ陣営が準備している。加盟国同士で同等の貿易条件を保障するようにしている世界貿易機関(WTO)の原則を避けるため、中国に与えていた「最恵国待遇」をなくす案まで検討しているという。トランプ政権下で始まった米中の貿易をめぐる対立で、昨年1~11月の米国の輸入のうち中国産の割合は13.9%で、すでに2004年以降最低値に落ちている。

問題は、「トランプ発の貿易戦争」が韓国に致命的な影響を及ぼしかねないということだ。昨年、中国の輸入における韓国産の割合は6.3%で、30年ぶりに最低に下がったが、中国は依然として韓国の対外輸出の20%ほどを占める主要貿易相手国だ。中国製品の対米輸出の道が閉ざされれば、その製品の生産に使われる韓国製半導体や機械、石油化学の製品などが打撃を受けることになる。中東や東南アジア、南米などの代替販路を早急に探さなければならないという意味だ。

さらに、トランプ氏の中国制裁の最大の理由は、米国との貿易であまりにも多くの黒字を出していることだ。韓国も対米貿易において、昨年だけで445億ドルの黒字を出した。韓米自由貿易協定(FTA)の内容が自国に不利だというトランプ政権の再交渉の要求で、かなりの譲歩をした前政権の時と似たようなことが再燃する可能性がある。バイデン政府のインフ削減法(IRA)の廃棄も公言しており、この法に合わせて米国に工場を建設している韓国企業に飛び火する可能性がある。

トランプ政権2期目の可能性は、今年のグローバル経済の最大リスクとなっている。日本などの先進国は、トランプ陣営に近い人物を動員して、自国に不利益になる政策の方向性を変える作業に着手したという。韓国政府と政界が、総選挙など国内懸案だけに集中するため、国際貿易秩序の再編の大きな流れを逃すと、後で取り返しのつかない大きな失敗を被りかねない。