
イスラム法を厳格に守り、世界で数少ない「禁酒国」だったサウジアラビアに初の酒販店が登場した。サウジアラビアの実権者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子が「脱石油」と「産業多角化」を目標に推進する経済・社会改革「ビジョン2030」計画の一環と評価されている。
AP通信などは24日、サウジの首都リヤド内の外交地区に各国の外交官を対象とした酒販店が開店したと報じた。21歳以上でイスラム教徒でない人だけが酒を購入でき、毎月の購入量も決まっている。購入可能者には月に240ポイントが与えられる。1リットル基準で蒸留酒は6ポイント、ワインは3ポイント、ビールは1ポイントが差し引かれる仕組みだ。酒の種類も限られている。当分の間、一部のワイン、ビール、蒸留酒などのみ販売される。
この店を訪れたある匿名の外交官は、AP通信に興味深い感想を伝えた。外交官は、「店は各国の有名空港の免税店にある高級酒類店のようだった」としながらも、「店の従業員が外交官の身分証明書の提示を要求した。また、酒を見る間、携帯電話をかばんの中に入れるように言われた」と話し、完全に自由な買い物ではなかったという。携帯電話で内部を撮影し、ソーシャルメディアなどを通じて外部に酒の写真が拡散されることを防ぐための措置とみられる。
サウジアラビアは、イスラム原理主義理念である「ワッハーブ派」の本山だ。近隣の同じスンニ派王政国家であるアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、バーレーンなどは、許可を受けたレストランや店で非イスラム教徒の外国人に以前から酒を販売しているが、サウジは許可しなかった。外国の航空機が自国の領空に進入した際、酒類サービスを中止するよう強要するほど禁酒規定が厳しかった。
2017年に政権を握ったムハンマド皇太子は、30年にサウジを経済大国にするという「ビジョン2030」に基づき、様々なタブーを一つずつ壊している。これにより、禁酒と同様に制限が厳しかった女性の運転など、さまざまな抑圧措置を撤廃している。公共の場所での男女分離政策もかなり緩和された。これにより、海外有名歌手のコンサートが開催され、映画館も続々に開館している。
イ・チョンア記者 clearlee@donga.com