マネとドガが見せたパートナーシップの力
Posted January. 16, 2024 07:54,
Updated January. 16, 2024 07:54
マネとドガが見せたパートナーシップの力.
January. 16, 2024 07:54.
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今月初めの早朝、米ニューヨークのメトロポリタン美術館に行って、人だかりに驚いた。19世紀の近代絵画の巨匠エドゥアール・マネとエドガー・ドガの作品約160点を集めた特別展「マネ/ドガ」が幕を下ろす日だったので、開館前から数百人が集まっていた。ニューヨークで話題となった「マネ/ドガ」展は、美術の専門家でなくても何度も足を運ばざるを得ない特別感がある。2歳差のフランス人で富裕な2人の画家の、友人でありながら時に敵対的である「フレネミー(frenemy・友人と敵の合成語)」な関係に焦点を当てたからだ。彼らは20代後半頃、パリのルーブル美術館で偶然出会い、20年間友情を保ってきた。よく言えば友情だが、展示作品には2人の画家が感じた競争心、嫉妬、羨望、尊敬、執着が描き込まれていた。ドガが、マネ夫妻を描いてプレゼントしたところ、マネが妻の部分を切り取ってしまった絵もある。何に腹を立てたのか、それでもなぜ友人であり続けたのか、想像力を刺激する。ドガは、マネの死後、彼の作品「皇帝マキシミリアンの処刑」がバラバラに売られると、一つずつ買い取り、つなぎ合わせようとした。敬意の表れだ。互いに同じモデルを描いたり、構図を真似たり、相手を意識した痕跡も興味深い。何より、互いの関係を通じて一歩踏み出し、共に成長した点が感動を与えた。「パートナーシップの力」を改めて実感させる。これが「マネ/ドガ」展に観客が集まった理由だろう。本人たちは印象派と呼ばれることを拒否したというが、互いがいることで刺激を受け、写実主義から印象派への転換の先駆けとなる実験をすることができた。考えてみれば、パートナーシップの力が発揮された事例はあまりにも多い。「マネ/ドガ」展が実現した背景も、フランスのオルセー美術館とニューヨークのメトロポリタン美術館の協業のおかげだ。160点の展示作品のうちオルセー美術館とメトロポリタン美術館の所蔵品は半分ずつで、作品を貸与し合ったおかげで、米国で初めてマネの傑作「オリンピア」が展示され、興行に火をつけた。全く違う分野だが、昨年、30代の量子科学分野の碩学として仁村(インチョン)賞を受賞した米マサチューセッツ工科大学(MIT)のチェ・スンウォン教授に会った時にも、パートナーシップの威力を感じることができた。チェ氏は理論物理学者だが、実験物理学にも業績を残したことで有名だ。その理由を尋ねると、「実験物理学者とも親しいから」と話した。頭の中で「これは可能か」という考えを実験物理学者と分かち合うと、新しい発見につながるという説明だ。チェ氏が、博士課程中にネイチャー誌の表紙を飾った有名な論文も、ふと思いついたアイデアを研究室の同期である実験物理学者のチェ・ジュンヒ米スタンフォード大学教授と共に48時間で具現化し、論文に書いた「作品」だった。パートナーシップの成功事例は他にも無数にある。世界最高時価総額の王座を争っているアップルやマイクロソフト(MS)からグーグル、オープンAIまで、創業の始まりは近所の友人や学校の同期のような関係から始まった。生まれ持った才能に成長する関係を受け入れることができれば、より早く夢に到達できるという教訓を与えてくれる。しかし、残念ながら個人の生活から政治に至るまで、世界はますますパートナーシップを見つけるのが難しくなっている。韓国はもとより、米国も政治、男女、性的マイノリティ、世代対立の中で無条件的な嫌悪が蔓延している。敵対感だけが浮き彫りになるだけで、認め合って協業と成長につながる事例を見つけるのは難しく、莫大な対立コストだけを払っている。再びマネとドガに戻れば、2人は政治的性向も極端に違ったという。新年は「それでも」包容する心を開いてみてはどうか。
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今月初めの早朝、米ニューヨークのメトロポリタン美術館に行って、人だかりに驚いた。19世紀の近代絵画の巨匠エドゥアール・マネとエドガー・ドガの作品約160点を集めた特別展「マネ/ドガ」が幕を下ろす日だったので、開館前から数百人が集まっていた。
ニューヨークで話題となった「マネ/ドガ」展は、美術の専門家でなくても何度も足を運ばざるを得ない特別感がある。2歳差のフランス人で富裕な2人の画家の、友人でありながら時に敵対的である「フレネミー(frenemy・友人と敵の合成語)」な関係に焦点を当てたからだ。彼らは20代後半頃、パリのルーブル美術館で偶然出会い、20年間友情を保ってきた。
よく言えば友情だが、展示作品には2人の画家が感じた競争心、嫉妬、羨望、尊敬、執着が描き込まれていた。ドガが、マネ夫妻を描いてプレゼントしたところ、マネが妻の部分を切り取ってしまった絵もある。何に腹を立てたのか、それでもなぜ友人であり続けたのか、想像力を刺激する。ドガは、マネの死後、彼の作品「皇帝マキシミリアンの処刑」がバラバラに売られると、一つずつ買い取り、つなぎ合わせようとした。敬意の表れだ。互いに同じモデルを描いたり、構図を真似たり、相手を意識した痕跡も興味深い。
何より、互いの関係を通じて一歩踏み出し、共に成長した点が感動を与えた。「パートナーシップの力」を改めて実感させる。これが「マネ/ドガ」展に観客が集まった理由だろう。本人たちは印象派と呼ばれることを拒否したというが、互いがいることで刺激を受け、写実主義から印象派への転換の先駆けとなる実験をすることができた。
考えてみれば、パートナーシップの力が発揮された事例はあまりにも多い。「マネ/ドガ」展が実現した背景も、フランスのオルセー美術館とニューヨークのメトロポリタン美術館の協業のおかげだ。160点の展示作品のうちオルセー美術館とメトロポリタン美術館の所蔵品は半分ずつで、作品を貸与し合ったおかげで、米国で初めてマネの傑作「オリンピア」が展示され、興行に火をつけた。
全く違う分野だが、昨年、30代の量子科学分野の碩学として仁村(インチョン)賞を受賞した米マサチューセッツ工科大学(MIT)のチェ・スンウォン教授に会った時にも、パートナーシップの威力を感じることができた。チェ氏は理論物理学者だが、実験物理学にも業績を残したことで有名だ。その理由を尋ねると、「実験物理学者とも親しいから」と話した。頭の中で「これは可能か」という考えを実験物理学者と分かち合うと、新しい発見につながるという説明だ。チェ氏が、博士課程中にネイチャー誌の表紙を飾った有名な論文も、ふと思いついたアイデアを研究室の同期である実験物理学者のチェ・ジュンヒ米スタンフォード大学教授と共に48時間で具現化し、論文に書いた「作品」だった。
パートナーシップの成功事例は他にも無数にある。世界最高時価総額の王座を争っているアップルやマイクロソフト(MS)からグーグル、オープンAIまで、創業の始まりは近所の友人や学校の同期のような関係から始まった。生まれ持った才能に成長する関係を受け入れることができれば、より早く夢に到達できるという教訓を与えてくれる。
しかし、残念ながら個人の生活から政治に至るまで、世界はますますパートナーシップを見つけるのが難しくなっている。韓国はもとより、米国も政治、男女、性的マイノリティ、世代対立の中で無条件的な嫌悪が蔓延している。敵対感だけが浮き彫りになるだけで、認め合って協業と成長につながる事例を見つけるのは難しく、莫大な対立コストだけを払っている。再びマネとドガに戻れば、2人は政治的性向も極端に違ったという。新年は「それでも」包容する心を開いてみてはどうか。
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