宇宙、国防、情報技術(IT)などの分野で急成長し、科学強国になったインドが、グローバルな科学技術協力のパートナーとして注目されている。韓国と米国も来年初め、インドと科学技術協力に乗り出す方針だ。
ソウルで9日に開かれた「第1回韓米次世代核心・新興技術対話(CET)」で、韓国と米国は来年初めにインドを含む韓米印3ヵ国の非公式対話を開催することで合意した。3ヵ国が先端技術をテーマに対話を行うのは初めて。韓米は、CETで半導体、量子、バイオ、バッテリー、人工知能(AI)、デジタルの6つの核心技術に対する協力を議論したが、技術協力パートナーをインドにまで広げたのだ。
3ヵ国対話の背景には、中国に対する米国の強い牽制がある。現在、米国は核心産業に対するグローバル供給網の安定化や先端技術の占有のために、韓国、インド、シンガポールなどインド太平洋地域諸国との協力を増やしている。
インドは科学分野に於いて最近5年間で、中国の次に急成長した国に挙げられる。国際学術誌「ネイチャー」によると、2017年から22年まで学界に影響力のある論文の国別貢献度を算出した結果、最も大きく成長した国は中国、2位はインド、韓国は4位だった。同時に、今年7月基準で国別貢献度が高い国でも、中国1位、韓国8位、インドは9位を占めた。短期間で世界的なレベルまで成長したという意味だ。
米国は昨年5月、「重要技術・新興技術に関する印米イニシアティブ(iCET)」を発表し、半導体、宇宙、国防など先端技術分野でインドと本格的な研究協力及び投資を開始した。特に宇宙分野では、来年の第1四半期(1~3月)に米国とインドが共同開発した地球低軌道観測システム「NISAR」を打ち上げる計画だ。米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は先月28日、インド宇宙研究機関(ISRO)を訪れ、40年までインド独自の宇宙ステーションの建設を支援し、来年初めの国際宇宙ステーション(ISS)訪問に向けインドの宇宙飛行士の訓練を支援すると明らかにした。
半導体分野でも米政府及び民間企業の資本がインドに大量に投入されている。今年6月、ホワイトハウスの発表によると、米国の半導体部品製造企業であるマイクロン・テクノロジーとアプライドマテリアルズは、インドに新しい半導体施設を建設するために、それぞれ8億2500万ドル(1兆890億ウォン)と4億ドルを投資すると明らかにした。韓国科学技術企画評価院(KISTEP)のカン・ジンウォン研究員は、「インドの豊富な科学技術人材と高い工学知識レベル、安い生産単価などを考慮すると、半導体供給網で中国に代わる国はインドが唯一だ」と分析した。
インドが科学強国として急成長する中、韓国の科学界でもインドとの協力を強化すべきだという意見が出ている。韓国科学技術研究院(KIST)インド・韓国科学技術センターのイ・スンチョル・センター長は、「インドが国際分野で頭角を現している現状で、インドとの科学協力は韓国が他の国と協力する際にも有利に働く可能性がある」と指摘した。
ただ、インドの科学技術発展の形態は尖った星のようで、政府が集中している宇宙、国防などの分野では強いが、産業化に必要な科学技術は全体的に発展が遅れているのが現状だ。イ氏は、「インドの強みと短所を分析し、バランスを取った科学技術外交が必要だ」と指摘した。
チェ・ジウォン記者 jwchoi@donga.com