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プロ野球LGが成功した理由、「誰よりも失敗したから」

プロ野球LGが成功した理由、「誰よりも失敗したから」

Posted December. 06, 2023 08:53,   

Updated December. 06, 2023 08:53

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「もう一度僕に疾風のような勇気を」

世の中はこの13文字を見て心臓がわくわくする人とそうでない人に分けることができる。時代によってスポーツ競技場で歌われた「アリラン牧童」、「アパート」、「あなたへ」の曲が、2023年現在は、この歌詞で始まる「疾風街道」の曲が肩代わりしているのだ。スポーツファンは、もともとアニメの主題歌だった疾風街道を「応援を呼ぶ歌」と評している。LGツインズが29年ぶりにプロ野球の韓国シリーズを制した瞬間、テレビ中継で流れた楽曲も疾風街道だった。

「荒波にも屈しないように」

LGは今季、韓米日のプロ野球52チームの中で盗塁失敗(101個)が最も多かった。LGを除けば、韓米日リーグのどこにも盗塁失敗が50個を超えたチームさえない。これだけ失敗が多いため、LGは韓米日プロ野球全体2位に当たる166盗塁を成功させたにもかかわらず、成功率は62.2%に過ぎなかった。セイバーメトリクス(野球の統計学)では、一般的に盗塁成功率が75%に満たない時は、走れば走るほど損だと計算する。今季にLGは「攻撃力」があまりにも強かったため、盗塁失敗にともなう損失は尚更大きかった。

「広い大地にまた刻まれる希望を」

しかし、今季からLGを采配している廉京燁(ヨム・ギョンヨプ)監督の考えは違った。廉監督は「ファンとメディアは盗塁失敗の数字を見ただろうが、私が力を入れたのは攻撃的なチームカラーを作ることだった。盗塁そのものの効果よりは走る野球を通じて選手たちがもっと強くなれると思った」と話した。このように盗塁失敗が日常茶飯事になったため、興味深い現象が起きた。LGは盗塁失敗を1つでも記録した試合で勝率0.767(56勝17敗1分け)を記録した。反面、盗塁失敗のない試合の勝率は0.435(30勝39敗1分け)に止まった。盗塁の失敗がかえってチームの成績を上げる結果につながったのだ。

「抱きしめて走って行くよ、君に」

2021年に「失敗研究所」を設立したKAISTは今年10月、「日常で捉えた失敗の瞬間」写真展を開いた。展示作品の中で「誰かが起こしてくれれば」というタイトルが付いていた写真が最も注目を集めた。芝生の上に倒れている白い椅子が映っている写真には、「今は横になってはいるけど、脚4本はしっかりついているし、壊れたところがないので、誰かが起こしてくれさえすればすぐに本来の役割を果たせるだろう」という説明が書かれている。KAISTのチョ・ソンホ失敗研究所長は、失敗の経験を共有する写真展を開いた理由について、「(一人で)苦しんでいた失敗を共有し、コミュニケーションを取っていると『自分だけが苦しいわけではない』ことに気づく」と説明した。LGが失敗を通じて成功した過程も大きく変わらないだろう。だから、疾風街道の歌詞のように、私たちお互いへの応援を信じて、胸がわくわくするように、失敗して失敗してまた失敗しよう。

「世の中に挑戦するのが寂しくても/一緒にしてくれる友情を信じている/もう一度僕に疾風のような勇気を/荒波にも屈しないように/広い大地に再び刻む希望を/抱いて駆けつけるんだ、君に」