「驚異」が窒息していく…老巨樹を覆うコンクリートを剥がそう
Posted November. 30, 2023 09:21,
Updated November. 30, 2023 09:21
「驚異」が窒息していく…老巨樹を覆うコンクリートを剥がそう.
November. 30, 2023 09:21.
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愚にも付かない話のようだが、記者には行くたびに地球の自転が体感されるような場所がある。江原道平昌(カンウォンド・ピョンチャン)の月精寺前のモミの道。2006年に倒れたという樹齢600年の木は、中にクマが入って休んでいるような大きさだが、その向かいの切り株に、よく見るとめまいがするほど同心円が多い幹の上に「ぼーっと」座っていると、まさにそんな気分になる。冬の森に深く入ると、その感覚はさらに強くなる。薄暗い太陽が輪郭を失い、リスが寝返りで落とした雪がぽつぽつと地面を叩くと、背の高い木の水管が地表下から一気に水を吸い上げる音が聞こえるかのようだ。こうして到着した見知らぬ場所では、まるで時間が物理的な実体として知覚されるかのようだ。このような錯覚は、巨大で言葉のない、根付いたまま動かない超然たる存在がもたらした驚異のおかげだろう。江原が山なら、済州は森だ。先日行った拒文(コムン)オルム・コッチャワル。「石は木に頼り、木は石に頼る」という済州のことわざのように、石をつかんで深く根を張った巨木と、その上を再び豆のつるが覆う姿を見ると、「コダマ」(アニメ「もののけ姫」に出てくる森の精霊)があちこちから顔を出すような気がした。このような感覚は、今では都市を離れなければ体験できないようになったが、伝統の時代には老巨樹は日常の一部だった。村の入り口にはケヤキが立っていて、山麓の唐松は神聖視されていた。その頃の驚異と神秘は、まるでご飯を食べるようなものだったのだろう。むろん、産業化を経てほとんど姿を消したが、ソウルをはじめとする大都市でも古い町にはまだ美しい木がかなりある。ただ、そこでの驚きはちょっと違う。「こんな状態でも生き残れるとは!」。建物と道路が侵食した空間の隙間で老巨樹は生きている。地表がコンクリートに覆われたまま、縦横1メートルほどの土の上に降り注ぐ雨水と養分に頼って、新たに道を作るための土に覆われ、根に空気も通らない場所で....。老巨樹がこのような環境に置かれると、激しいストレスを受けるということが初めてデータで明らかになった。文化財庁の国立文化財研究院は18日、「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」に老巨樹の生育環境と木の活力に関する研究結果を掲載した。研究チームがケヤキの老巨樹25株を研究した結果、樹冠が広がる幅より狭い生育空間で育つ老巨樹は、最大の光合成速度などが相対的に低下した。地面を覆ったコンクリートが空気や水、栄養分の移動を妨げるからだ。同様に、地面が土に厚く覆われて水が地中に浸透しにくいほど、木の活力を示す指標が低かった。老巨樹の周りのコンクリートを剥がそう。根が呼吸できるように、人工的に覆った土は取り除こう。研究陣は電話で、「ベンチを置くくらいならいいだろうが、少なくとも樹冠幅くらいは地面を自然な状態にしたほうが老巨樹の生育に支障をきたさない」と話した。天然記念物の中には600~700年生きたと推定されるケヤキもある。私たちが長生きする木をゆっくりと殺しているのだ。枯れていく老巨樹とともに、私たちの驚異も窒息していく。
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愚にも付かない話のようだが、記者には行くたびに地球の自転が体感されるような場所がある。江原道平昌(カンウォンド・ピョンチャン)の月精寺前のモミの道。2006年に倒れたという樹齢600年の木は、中にクマが入って休んでいるような大きさだが、その向かいの切り株に、よく見るとめまいがするほど同心円が多い幹の上に「ぼーっと」座っていると、まさにそんな気分になる。
冬の森に深く入ると、その感覚はさらに強くなる。薄暗い太陽が輪郭を失い、リスが寝返りで落とした雪がぽつぽつと地面を叩くと、背の高い木の水管が地表下から一気に水を吸い上げる音が聞こえるかのようだ。こうして到着した見知らぬ場所では、まるで時間が物理的な実体として知覚されるかのようだ。このような錯覚は、巨大で言葉のない、根付いたまま動かない超然たる存在がもたらした驚異のおかげだろう。
江原が山なら、済州は森だ。先日行った拒文(コムン)オルム・コッチャワル。「石は木に頼り、木は石に頼る」という済州のことわざのように、石をつかんで深く根を張った巨木と、その上を再び豆のつるが覆う姿を見ると、「コダマ」(アニメ「もののけ姫」に出てくる森の精霊)があちこちから顔を出すような気がした。
このような感覚は、今では都市を離れなければ体験できないようになったが、伝統の時代には老巨樹は日常の一部だった。村の入り口にはケヤキが立っていて、山麓の唐松は神聖視されていた。その頃の驚異と神秘は、まるでご飯を食べるようなものだったのだろう。
むろん、産業化を経てほとんど姿を消したが、ソウルをはじめとする大都市でも古い町にはまだ美しい木がかなりある。ただ、そこでの驚きはちょっと違う。「こんな状態でも生き残れるとは!」。
建物と道路が侵食した空間の隙間で老巨樹は生きている。地表がコンクリートに覆われたまま、縦横1メートルほどの土の上に降り注ぐ雨水と養分に頼って、新たに道を作るための土に覆われ、根に空気も通らない場所で....。
老巨樹がこのような環境に置かれると、激しいストレスを受けるということが初めてデータで明らかになった。文化財庁の国立文化財研究院は18日、「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」に老巨樹の生育環境と木の活力に関する研究結果を掲載した。研究チームがケヤキの老巨樹25株を研究した結果、樹冠が広がる幅より狭い生育空間で育つ老巨樹は、最大の光合成速度などが相対的に低下した。地面を覆ったコンクリートが空気や水、栄養分の移動を妨げるからだ。同様に、地面が土に厚く覆われて水が地中に浸透しにくいほど、木の活力を示す指標が低かった。
老巨樹の周りのコンクリートを剥がそう。根が呼吸できるように、人工的に覆った土は取り除こう。研究陣は電話で、「ベンチを置くくらいならいいだろうが、少なくとも樹冠幅くらいは地面を自然な状態にしたほうが老巨樹の生育に支障をきたさない」と話した。天然記念物の中には600~700年生きたと推定されるケヤキもある。私たちが長生きする木をゆっくりと殺しているのだ。枯れていく老巨樹とともに、私たちの驚異も窒息していく。
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