「まるで銀行の奴隷のよう」
尹大統領は30日、閣議で、金利高で苦しんでいる小規模事業者たちがこのように話し、ため息をついていると伝えた。ソウル江西(カンソ)区長補選の敗北後、大統領秘書室長、首席、秘書官、行政官らが国民生活の現場36ヵ所を訪れ、国民の切実な声を聞いてきたという。小規模事業者の言葉を借りた形だが、銀行機関の過度な利益追求問題は、尹大統領が普段から持っていた問題意識だと、参謀たちは伝えた。
● 銀行の「横財税」導入に再点火
尹大統領の発言は、最近、金融当局が「銀行横財税」」(windfall profits tax=超過利潤税)の導入を検討している状況で出たことから、さらに重みが増した。銀行が得た利益の一部を庶民金融振興院に負担金として拠出する、いわゆる銀行横財税法案は今年4月、最大野党「共に民主党」の閔炳徳(ミン・ビョンドク)議員が代表発議し、現在国会で審議中だ。
政界を中心に議論された銀行の横財税と関連して、金融当局は具体的な方策を検討していないという立場だが、銀行機関が過剰な利子ビジネスで得た超過利益の還収の必要性については共感している。横財税など銀行超過利益の返還について、金周顕(キム・ジュヒョン)金融委員長は27日、総合国政監査で、「どのような方法が良いかについて、韓国の特性に合わせて総合的に検討したい」と述べた。李卜鉉(イ・ボクヒョン)金融監督院長も、「銀行の利益と関連した国民の苦痛を認識し、様々な努力をしてきたが、不十分との指摘を受け止めている」とし、「各国の政策を注視している」と述べた。
大統領室が伝えた「銀行の奴隷」発言に、同日の国内の株式市場では、ハナ金融持株(-3.76%)、KB金融(-2.67%)、新韓持株(-2.57%)、ウリィ金融持株(-1.41%)などの銀行株が一斉に急落した。「尹大統領の発言のためか、今日、銀行株が下落傾向を示したという話がある」という指摘に対し、大統領室関係者は、「現場の声を閣僚や国民にも伝える次元で出た話」とし、「政策に直接結びつけることは望ましくない」と線を引いた。
● 共生金融に協力した銀行機関「困惑」
横財税とは別に、金融当局が推進している庶民金融政策には力が加わる見通しだ。これに先立ち、金融委員会は、年間の庶民金融政策資金を当初10兆ウォンから1兆ウォン以上拡大して過去最大規模で供給する方針を立てた。ヘッサル・ローン商品の統合運営、最低信用者対象の融資商品の発売などを盛り込んだ「政策庶民金融効率化案」も年内に発表する予定だ。
預貸マージンの縮小など銀行機関の自主的な役割を期待するムードもうかがえる。大統領室関係者は同日、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「1997年の通貨危機の時も、危機に陥った銀行を国民の税金である『公的資金』で救った」とし、「銀行も国民のためにもっと基本的な役割を果たすべきだと考える」と述べた。
銀行機関では、尹大統領の発言に戸惑うムードが漂っている。非利子収益活性化案を模索しており、共生金融に積極的に協力したにもかかわらず、政府が再び「銀行叩き」に乗り出したということだ。銀行関係者は、「小規模事業者支援、元本返済猶予などに続き、共生金融まで参加したのに、政府のこのような強硬な姿勢は納得できない」とし、「銀行機関の立場からすれば、『何をまた出さなければならないのか』と苦悩せざるを得ない状況だ」と語った。
一方、尹大統領の国会に向けての発言も国民経済のに焦点が当てられた。特に、チョンセ詐欺などと関連した特定経済犯罪加重処罰法について、「二度と力のない弱者を対象とした悪質犯罪が繰り返されないよう法改正を急いでほしい」と述べた。また、重大災害処罰法と不正請託及び金品等の授受の禁止に関する法律(金英蘭法)に関連した小規模事業者の困難についても言及した。
カン・ウソク記者 イ・サンホン記者 wskang@donga.com