Go to contents

尹大統領が指名する次期大法院長の課題

Posted August. 22, 2023 08:37,   

Updated August. 22, 2023 08:37


金命洙(キム・ミョンス)大法院長(最高裁判所長官)の6年間の任期が来月24日に終了する。大統領は候補推薦委員会なしで独自に大法院長を指名した後、国会の人事聴聞会と本会議の任命同意案の採決を経て任命する。指名から任命まで1ヵ月程度かかることを考えると、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今週中に次期大法院長を指名しなければならない。

金大法院長体制で、いわゆる司法壟断事態に関与したエリート判事らが法服を脱いだり、懲戒処分を受けたり、役職から不利益を受けたりする中で、ウリ法研究会と国際人権法研究会の出身者が大挙して大法官(最高裁判所裁判官)、法院長など上級法官職や主要役職に躍進した。特定の団体出身という理由だけで恩恵を受けた法官を排除し、司法壟断事態で過度の被害を受けた法官たちに機会を与え、過去とは反対に傾いた人事の不均衡を是正することが、裁判所の信頼回復のための新大法院長の最優先任務だ。

金氏は、司法壟断が裁判所の官僚化から始まったと考え、裁判所官僚化の主な原因として指摘された高等部長判事の昇進制度を廃止した。高等部長判事の昇進制の廃止には改革的な面があるが、それによる副作用を予測し、備えることには失敗した。裁判官たちが高等部長判事になるために人より一生懸命働く動機がなくなり、裁判の遅延が横行した。新しい大法院長は、裁判所の官僚化を避けながら、最善を尽くす判事が報われる新たな枠組みを構築しなければならない。

金大法院長体制では、裁判所の事務分担権など多くの権限が平判事に移された。しかし、平判事により多くの自律権を与えることが人事管理の怠慢につながってはならない。検察の司法壟断捜査で人事資料の収集さえも違法扱いされ、政治的中立性を損なうなどの不適切な言動を繰り返す判事に対する処理が難しくなった。韓国は米国などと違って、まだ法曹一元化が進んでおらず、20、30代の若い年齢で任用され、十分な検証を受けていない裁判官が多いため、厳格な人事評価と再任用審査を通じて軌道から外れた裁判官を選別する必要がある。

尹大統領が指名する次期大法院長候補が、野党が圧倒的な議席を占めた国会で任命同意を得ることができるか心配だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権での金大法院長の指名時も与野党間で論争が激しかったが、国会で「国民の党」が第3党としてキャスティングボートを握っていたため、辛うじて任命同意案が可決された。史上初の大法院長空白事態が起こらないよう、大統領は合理的な人物を指名し、野党も少なくとも最高裁長官の任命だけは大乗的に協力しなければならない。