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ソウルで値上がりしても釜山が値下げることも、地域ごとの電気料金差別化めぐり議論本格化

ソウルで値上がりしても釜山が値下げることも、地域ごとの電気料金差別化めぐり議論本格化

Posted May. 29, 2023 08:41,   

Updated May. 29, 2023 08:41

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地域ごとに電気料金を異なるように策定できる「地域別差別電気料金制」の導入を巡る議論が、本格化している。差別料金制の施行根拠を盛り込んだ分散エネルギー特別法が25日、国会で可決されたことを受けたものだ。もし、特別法の趣旨どおり電気事業法が改正されれば、電気を多く使う首都圏の電気料金は上がり、原発などのある地域の電気料金は引き下げられる。

分散エネルギーとは、エネルギー使用地域の近くで生産・消費されるエネルギーをいう。分散エネルギー法は、現在の中央集中型電力システムを電力需要中心の地域・単位別に構築することを柱とする。分散エネルギー法が制定されたのは、過度な電力輸送費用と共に、地域苦情をめぐる問題提起がこれまで絶えなかったためだ。地方で作った電力を首都圏に安定的に送るためには、送・配電費用と共に送電塔の建設にともなう住民受容性問題など、解決しなければならない問題が少なくない。韓電によると、2036年までに送電網の構築費用だけで56兆5000億ウォンに上る。この費用は、送電計画を新たに樹立する度に増えている。

このような問題を解決するための代案として考慮されているのが、地域別差別料金制だ。分散エネルギー法は、電気販売事業者が送・配電費用などを考慮し、地域別に電気料金をそれぞれ決められるようにする規定を含んでいる。韓電によると、2021年基準で電気を最も多く使うソウルの電力自給率(電力生産量を消費量で割ったもの)は11.3%に過ぎないものの、仁川(インチョン)や忠清南道(チュンチョンナムド)、釜山(プサン)などの自給率は191.5~243.0%に達する。電力の生産と消費の地域間のばらつきが非常に大きい。

これに伴い、発電所が集中している地域を中心に、地域別差別料金制の導入要求が続いていた。慶尚北道(キョンサンブクド)は昨年7月、「地方時代における主導準備委員会」で、地方自治体別差別料金制制度を建議した。自治体の電気料金が首都圏より低くなれば、企業誘致に有利なだけに、地域経済の活性化に役立つという理由からだ。海外の一部の国でも、地域別差別料金制が導入され、施行されている。英国やアイルランド、ノルウェー、スウェーデンなどが地域別差別料金制を施行している。

しかし、専門家たちは、分散エネルギー特別法が可決されても、直ちに差別料金制が施行されることはないと見ている。地域別に料金を差別化できる明確な基準がまだおらず、公共性の高い電気料金を地域別に差別適用する場合、電力需要の高い首都圏などでの反発が予想されるためだ。エネルギー経済研究院のアン・ジェギュン研究委員は、「韓電は、2000年前後に地域別差別料金制に対する価格測定基準を用意したが、基準が曖昧なうえ策定根拠まで貧弱で、今まで導入の動きが全くない状況だ」とし、「地域別差別料金制は、長期的観点から納得できる明確な料金策定基準を用意するのが重要だ」と話した。


世宗市=キム・ヒョンミン記者 kalssam35@donga.com