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米国8%台の物価上昇率、「インフレ」への油断は一瞬たりとも許されない

米国8%台の物価上昇率、「インフレ」への油断は一瞬たりとも許されない

Posted September. 15, 2022 08:07,   

Updated September. 15, 2022 08:07

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先月、米国の消費者物価の上昇率が予想より高くなり、韓国国内外の金融市場が動揺した。米労働省が13日明らかにした8月の米消費者物価の上昇率は8.3%で、市場予測値より0.3ポイント高かった。インフレが続くだろうという懸念から、韓国と世界の証券市場が軒並み下落し、ウォン相場は13年5ヵ月ぶりに1ドル1390ウォン台のウォン安ドル高となった。昨日、企画財政部の方基善(パン・ギソン)第1次官は予定になかった非常経済会議を開き、「格別な警戒感を持って、市場を注視してほしい」と指示した。

米国の物価上昇率が高くなったのは、住宅賃貸や医療サービス、新車、食品など様々な分野の価格が同時多発的に上がった結果だ。物価高は一部品目に限ったものではなく、広範囲に広がっている。当初、インフレの主な原因は、サプライチェーンの危機にともなう原油価格の高騰という分析が支配的だった。一時、1バレル=120ドルまで値上がりした国際原油価格が80ドル台に下がり、物価ピーク論が浮上したが、今回の物価ショックで説得力を失うことになった。

物価高とウォン安ドル高の影響で、韓国内企業には赤信号がともっている。ドル建ての借金が多いバッテリーや石油化学業界は、急激なドル高で外貨建て負債が大きく増えている。LGエネルギーソリューションはこの半年間、ドル建て負債が8000億ウォン以上増えた。油類費と航空機リース代金をドル建てで決済する大韓(テハン)航空とアシアナ航空は、為替相場が1ドルあたり10ウォンのウォン安ドル高が進む度に、それぞれ350億ウォンと284億ウォンの為替差損を被っている。かつて、自動車業界はウォン安ドル高の際、輸出競争力が高まったが、今はグローバル景気減速で売上げはあまり伸びず、原材料価格の負担だけが増大している状況だ。

米国では来週、連邦準備制度理事会(FRB)が基準金利を0.75%上げるジャイアントステップに止まらず、1%を上げるウルトラステップを断行することもありうるという観測が流れている。先月の物価ショックを、インフレの長期化への警告として受け止めているのだ。

先月、韓国銀行(韓銀)の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、当分、基準金利を0.25%ずつ引き上げるベビーステップを予告し、「ビッグステップは考慮していない」と述べた。インフレへの懸念が再び高まるなど、環境が変わっただけに、韓銀は全ての可能性を念頭に置き、通貨政策を見直す必要がある。金融危機とコロナパンデミックを経て続いた「流動性パーティー」を正常化するには時間がかかるしかない。緊縮の時代をすぐに抜け出すことが難しい現実を直視しなければならない。