
1940年にディズニーが出した2作目の長編アニメーション「ピノキオ」が、実写映画としてリメイクされた。オンライン動画サービス(OTT)ディズニープラスが8日公開した「ピノキオ」だ。
木製のあやつり人形ピノキオを作った白髪のくせ毛のおじいさんゼペット役を、トム・ハンクスが演じたことから話題となった。穏やかな性格のゼペットに変身した彼からは、前作「エルビス」で演じた悪魔のようなマネージャー「トム・パーカー」の姿が少しも思い浮かばない。「千の顔」という修飾語が最もよく似合う俳優と言ってもいいほどだ。
子役のベンジャミン・エヴァン・エインズワースが表現したピノキオの無邪気な声の演技も見どころだ。コンピューターグラフィック(CG)技術で誕生した主人公ピノキオは、原作アニメーションを越えて本物の子供のようにリアルに動く。
原作アニメの大きな流れに沿っていきながらも、一部のシーンは歳月の流れを反映して変化した。時間を知らせる時、ゼペットの作業室の壁面いっぱいにかかった一斉に飛び出す鳩時計のキャラクターたちは、白雪姫やマレフィセントなどディズニーの有名キャラクターに変わった。ディズニーの歴史をともにしたキャラクターを、一目で見ることができる名シーンだ。
ピノキオが馬引きに騙されて「遊びの島」に行くことになった後、飲んだ飲み物も原作ではビールだったのがジュースに変わるなど、ピノキオが相当な悪事をしでかした原作と比較すると純化した部分が多い。
ピノキオに生命を吹き込む白人妖精役が、黒人女性(シンシア・エリヴォ)に変わったことをめぐっては、言い争いが続く雰囲気だ。ディズニーが政治的正しさを意識して無理なキャスティングをしたという指摘と、多様性を追求するための選択だったという意見が衝突している。
映画は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1987年)シリーズを演出し、「フォレスト・ガンプ」で1995年にアカデミー作品賞や主演男優賞(トム・ハンクス)、監督賞などを総なめしたハリウッドの巨匠ロバート・リー・ゼメキス監督が演出した。原作アニメで初めて登場し、今はディズニー映画のオープン音楽として使われる不朽の名曲「When you wish upon a star」は、今回もテーマ曲として使われ、視聴者を童話の中の世界に導く。
ピノキオの良心的役割をするコオロギ・ジミニーの声を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット、馬引き役のルーク・エヴァンズなど、錚々たるハリウッド俳優たちの活躍も見どころだ。ただ、幻想の世界に魅了されるために、スマートフォンの画面は小さすぎる感じだ。どうせなら大型テレビのような大きな画面で見ることを勧める。
孫孝珠 hjson@donga.com