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素朴な接待

Posted April. 01, 2022 08:45,   

Updated April. 01, 2022 08:45

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寂しい時間に訪れてくれたお客さんを迎えながら、詩人の手が忙しい。手をつけなかった花道も掃いたり、久しぶりに門を開け放つ。これまで、客の訪問どころか、自分も外出していなかったようだ。粗末なおつまみと古い濁り酒を差し出しながら、それとなく口にする心の広い一言、相席してもよければ、柵の向こうのお年寄りを呼び出そうかと思うが、いかがであろうか。詩人は、訪ねてきた客が、チェ氏の姓を持つ県令と注釈をつけたが、客も隣の老人も、隔意のない詩人の温かい心遣いに快く相づちを打ったのではないだろうか。

相次いで科挙試験に失敗し、自薦他薦で辛うじて得た官職さえ長く堪えることができないまま、戦乱に巻き込まれた杜甫。家族とともに、定着地を探し回った彼は、四川省に草堂を設け、しばらくでも長い流浪を止める。知人の助けで、彼は50歳になって、ここで生涯最初で最後に素朴な贅沢を享受した。直前まで「寒い日が暮れるまで、谷間の猿について、どんぐり拾って」生き延びていた彼だったのだから、「見えるものは、毎日来るカモメの群れ」だけの退屈ささえ幸せな日課だったのだろう。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授