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不法占拠に手をこまぬいている政府

Posted February. 16, 2022 09:07,   

Updated February. 16, 2022 09:07

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全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下の宅配労組のストが、昨年12月28日に始まってから50日目に入っている。今月10日からは、労組がCJ大韓(テハン)通運の本社を占拠し、座り込みを行っている。昨年、労使が結んだ宅配便運転手の過労死防止のための社会的合意の履行をめぐる労使間の対立がピークに達し、ストが長期化している。

宅配労組は、この1年間の宅配費の引き上げ分が公正に配分されなかったことを、長期ストの理由に挙げている。会社側は、「宅配費引き上げ分の計算に間違いがあり、実際は引き上げ分の半分を宅配運転手の手数料として配分した」と反論する。この議論を巡る検証は必要だ。ただ、8カ月前に行われた労使間の社会的合意は、宅配運転手の分類作業の除外や週60時間の実施など、労働条件を柱としたもので、宅配費の配分は合意による義務事項ではなかった。

さらに、宅配労組の組合員らは、本社占拠の過程でCJ大韓通運の組合員30人に暴行を加え、本社事務室の備品や個人所持品を無断で持ち出すなど、不法行為を日常的に行ってきた。昨年、宅配労組のいじめにより自殺した金浦(キムポ)宅配代理店主の妻は、昨日、東亜(トンア)日報の記者に会い、「労組は世界の王様のようだ。韓国は労組だけを守る国なのか」と問い返した。不法と暴力が日常化した集団を、果たして労組と呼べるのか疑問だ。

韓国の労組が法を無視して過激になったのは、労組寄りの現政府が自ら招いたことだ。昨年の労組法改正当時、政府と与党は解雇者と失業者の労組加入を認めながらも、スト時の代替労働を認めてほしいという経営界の要請を黙殺した。解雇された労働者が、組合員の資格で工場を占拠しても阻止する根拠がないのが、韓国の労使関係の現実だ。貴族労組が既得権保護のために闘争一辺倒の労働運動をしたことで、企業は滅び、経済全般の混乱のみ高まっている。

目の前で起こっている労組の不法行為に、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補は沈黙している。最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補は厳正な処理に言及しながらも、「政府の介入よりは、自主的解決が重要だ」と傍観者的論評を出している。野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)大統領選候補だけが、不法と暴力行為に対する厳正な法執行を要求している。CJ大韓通運は、業務妨害容疑で宅配労組を警察に告訴したが、いざ警察は、労組の自主的立ち退きを説得しているだけだ。不法ストで企業と消費者が被害を受けても、公権力や政界は甘い姿勢で一貫している。「労組共和国」という自嘲は、もはや誇張ではなく現実になっている。