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厳格な訓育

Posted December. 23, 2021 08:43,   

Updated December. 23, 2021 08:43

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聖母と赤ん坊のイエスは中世初期から美術家に人気のある主題だった。慈愛深い母親が特別な能力を持つ赤ん坊を愛おしそうに抱く姿が描かれるのが一般的だ。ところがマックス・エルンストは全く正反対に描いた。ありえない!聖母が赤ん坊イエスを叩いている。いったい画家は母子の姿をなぜこのように描いたのか。

反カトリック感情を持っていると思うかもしれないが、実はエルンストはドイツの厳格なカトリック教徒の家庭で育った。彼の両親は子どもが信仰心のある才能ある人間に成長することを望んだ。エルンストは、正規の美術教育は受けなかったが、ダダイズムと超現実主義運動の先駆者になった。第1次世界大戦は、彼の人生と芸術の転換点となった。4年間のドイツ軍参戦の経験で、戦争を招いた西欧文明と伝統、思想に対して非常に批判的な態度を持つようになった。この絵は、エルンストがパリに滞在していた時に制作されたもので、発表されるやいなや神聖冒涜の論議が起こった。超現実主義の仲間だけが優れたユーモアと受け入れた。絵の中の聖母は挫折した表情で幼い息子の尻を容赦なく叩く。おそらく息子が危険な行動をしたか、言うことを聞かなかったようだ。窓には、これを見ている3人の目撃者がいる。詩人のアンドレ・ブルトンとポール・エリュアール、そして画家自身だ。皆、超現実主義運動の首唱者だ。彼らは、聖母の体罰が正当に見えるのか特に驚いていない。 

フランスは厳格な子どもの訓育で有名だ。最近までも子どもの体罰に寛大な方だった。親の子どもの体罰を禁じる別名「尻たたき」禁止法が可決されたのは2019年。エルンストはフランス式訓育から芸術的インスピレーションを得たのだろう。もし聖母がフランスの母親だったら、神の子でも誤った時は罰を受けたと考えたのではないだろうか。むろん、赤ん坊を殴る母親の心からは身に着けたドレスの赤色のような血の涙が出たことだろう。

美術評論家