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誰も話さない

Posted December. 20, 2021 08:50,   

Updated December. 20, 2021 08:50

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この世のどこが森なのか どこが沼なのか

誰も話さない (趙容弼作詞・作曲の「夢」)

中高年層に馴染みのある歌王・趙容弼(チョン・ヨンピル)の歌「夢」の歌詞だ。以前はこの歌詞の意味がよく分からなかった。しかし、最近になって、これほど私に響きを与えてくれるものもない。聞くたびに、胸の片隅にジーンときて、激しく共感を呼ぶ。

数年前、いつも教えてくださった師が、永遠に会えないあの世に去ってしまった。師匠がいらっしゃる時は、気になることや解決できない問題があれば、いつでも電話で聞くか、直接会ってどのように処理すればいいかを聞いた。その度に、大変明快な解決策を与えてくれた。

そんな師匠が世を去った後、決断が必要なことについて簡単に尋ねたり、答えをくれる人がいなくなった。今やすべてのことは、一人で判断して実行しなければならない時が来たのだ。人生の重要な瞬間とヤマ場は、結局自分一人で決めなければならないという言葉を数え切れないほど聞いた。そして、賢明な判断力を養うため、これまで一生懸命勉強したり、他人の話にも耳を傾けた。毎瞬間悩みに悩み、最善の結果を得るために選択した。しかし、結果はいつも芳しくない。判断に対して懐疑の念を抱いたり、理由のない反感が生じる時があまりにも多い。

年を取れば賢くなり、慧眼が生まれるという。しかし、霧の中を歩くように前が見えず、慌てる時が多くなった。見知らぬ所で運転するたびに、詳しく道案内をしてくれるカーナビ、蓄積された資料に基づいててきぱきと問題を解決してくれるという人工知能が、すぐに現実のものになるという時代に、あらゆる人の悩みを解決してくれ、最適の経路を教えてくれる賢人が現れてほしい。もどかしい日常世界で、一筋の光のように、「この世のどこが森なのか、どこが沼なのか」詳しく知らせてくれるそんな人がそばにいてほしい。