朴泰遠(パク・テウォン)の小説に「寂滅」という作品がある。1930年、東亜(トンア)日報に連載された小説だが、そこに次のような一節が登場する。「人生は夢だ。そして人生が追いかけるのも夢だ」。なんと90年前に朴泰遠は分かっていたのだ。人生が夢に向かっていて、夢で形成されているということを。人生は堅固な現実を土台にしているように見える。しかし、人生の重要な一部は実体のない夢だ。夢を抱かずに私たちは昼を生きることはできない。夢を抱かずには人生を生きることもできない。
毎日の夢が集まって1年になった。12月が過ぎ去れば、1年は別れを告げて去るだろう。消えていく2021年は二度と戻らない。だからこの詩をよもう。詩人の鄭洋(チョン・ヨン)の「その夢を全て忘れようと」は、私たちが抱いたすべての夢についての詩、すべての日々についての詩だ。夢で築いた1年を整理するのにこの詩ほど適切な作品はない。12月にこの詩をよまなければ、一体いつよむというのだろうか。
今年は多くの人々にとって辛く大変な年だった。戦場でも赤ん坊が生まれるように、私たちは大変な中でも夢を抱いた。もっと良くなるだろうという夢、望みをなし遂げるという夢、なりたい人になるという夢。その夢はたいてい実現しない。それでも恨むのをやめよう。忘れなければならない夢も、夢を忘れなければならない私たちも恨むのをやめよう。2021年の残った夢を忘れてこそ、来年の夢を抱くことができるから、今は忘れる時間だ。