Go to contents

不運の詩人

Posted September. 10, 2021 08:24,   

Updated September. 10, 2021 08:24

한국어

高い所で澄んだ露を飲みながら朗々とした音を出すので、セミはよく世の中の混濁で「独り高潔な存在」に比喩される。詩人の手の平に潜り込んだ病んだセミ、羽は引き裂かれ、鳴き声はほろ苦い。ちりに瞳孔を突かれて、もはや思うように飛ぶことも歌うこともできない身になった。それでも自分の生まれつきの才能はまだ健在で軽く飛べるし、清らかな声も出す。お腹の中は花露でいっぱいになったので、その心性はまたどれほど清潔で芳しいだろうか。しかし、まともに才能を発揮できないこの不遇な状況で、いまやウグイス、とんびの脅威にさらされている。病気になったセミを自分の境遇に比べようとする狙いは、一見極めて正常な発想だろうが、セミより大きいからといって、すべてが傷つける相手と断定できるのだろうか。最後の一節には、詩人の誇張された被害意識が垣間見える。

詩作に自信満々だった賈島は、科挙に落ちると、朝廷の実権者を批判する詩を出したりもした。そのためか、賈島は科挙を司った礼部から「試験場の覇悪者」の一人とされ、10年以上も受験資格を剥奪された。当代の文章家、韓愈だけは孟郊の死後、「天は文章が完全に途切れることを恐れて、再び賈島を人間界に出した」と称賛したので、師匠からは広く認められることになる。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授