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信念を守る勇気

Posted August. 26, 2021 10:44,   

Updated August. 26, 2021 10:44

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死以上の恐怖があるだろうか。若くて美しい女性が海岸の杭に縛りつけられている。満潮になれば、冷たい海水が徐々に上がって、彼女を飲み込むだろう。いったい彼女は誰で、なぜこのように惨めな死を迎えることになったのだろうか。

絵の中の女性は、17世紀にスコットランドのウィッグタウンに暮らしていたマーガレット・ウィルソン。スコットランド長老教会に対する英国王の干渉を拒否した運動団体「カヴェナンター」のメンバーだった。彼らはキリスト以外には王を含め誰も教会の霊的指導者になれないと信じた。1685年5月11日、ウィルソンはジェームズ7世を教会首長に認定する宣誓を拒否し、溺死刑を宣告され、処刑された。18歳だった。死刑執行官は年老いた信徒マーガレット・マクラーレンを先に処刑した後、幼いウィルソンを懐柔した。尊敬していた仲間が苦しみの中、溺死する姿を目の当たりにした後だった。ただ宣誓すれば生きることができたが、ウィルソンは信念を守って喜んで死を選んだ。海水に全身が浸かるまで、祈りを止めなかった。

約180年後、英国の画家ジョン・エヴァレット・ミレーは、殉教の場面を描いた。絵の中の少女は実際の処刑地だったソルウェー湾海岸の杭に縛られている。赤い長い髪は乱れ、開いたブラウスとタータンチェックのスカートを着ている。深く考えているかのように視線は下に向き、口を少し開けて祈っている。ミレーは著名な画家だったが、この絵が公開されると非難を受けた。ウィルソンの上半身をヌードで描いたためだった。少女の死をさらに劇的に表現しようという意図だったが、幼い殉教者のヌード画は、当時誰も受け入れることができなかった。ミレーはウィルソンの上半身を描き直した。

信念を守るには、恐れに対抗する勇気が必要だ。ウィルソンは命を賭けて信念を守ったので偉大な殉教者になった。ミレーは誤った信念を捨てることで、長く愛される名画を誕生させることができた。