「北は韓国を侵略する能力がない」と言う宋永吉代表、アフガンを見て言える言葉か

与党「共に民主党」の宋永吉（ソン・ヨンギル）代表が１８日、ＳＮＳに、「北朝鮮はすべての兵器体制が古かった」とし、「韓国を侵略する能力どころか自分たちの生存と体制維持が切迫しているのが実情」と述べた。ある米国のコラムニストが米国の支援がなければ韓国もアフガンのように崩壊すると主張したことに対して、韓国が北朝鮮より軍事的に優位にあるとして反論したのだ。

宋氏が、「北朝鮮は韓国を侵略する能力がない」と主張したのは、基本的な事実関係すら歪曲したも同然だ。宋氏は、北朝鮮軍の兵器が全て古く、経済制裁で軍事用の燃料も不足していることを根拠に挙げた。しかし、北朝鮮の最大の脅威である核兵器には言及しなかった。北朝鮮はすでに２０～６０個の核兵器を持っている。１個だけソウルに落ちても、取り返しのつかない災いとなる。北朝鮮は、韓国を越えてすでに米本土に対する核攻撃能力まで備えていると米国は見ている。米国が北朝鮮との対話に出たのもこのためだ。にもかかわらず、今の北朝鮮が韓国を攻撃する能力がないと見るべきなのか。

北朝鮮の核脅威が大きくなった状況で、在韓米軍の規模を維持し、韓米合同軍事演習を実施するのは韓国の安保のための必須事項だ。しかし、宋氏は、国会外交統一委員長だった昨年７月、「在韓米軍は韓米同盟軍事力のキャパオーバー（過剰）ではないかと思う」と述べた。在韓米軍縮小の必要性を示唆したのだ。韓半島の軍事力において、在韓米軍は過剰で、北朝鮮軍は過小だというのが宋氏の平素からの考えなのか。宋氏は今回、「戦時作戦権（戦作権）の移管が１日も早くなされなければならない」とも強調した。しかし、韓国軍の戦作権の運用能力を検討する韓米合同軍事演習の延期を求めたのが同党と「開かれた民主党」をはじめとする７４人の与党圏議員だ。つじつまの合わない主張だ。

アフガン戦争は、戦争の勝敗が単なる物理的な軍事力によって決定されるのではないということを如実に見せた。アフガン政府軍は当初、米国の支援を受けてタリバンより兵力と装備の面では優位にあった。しかし、指導層の不正と腐敗、何より戦う意思が失われ、抵抗することなく崩壊したのだ。客観的に戦力で劣勢に見える敵に対して油断したり隙を見せたりしてはいけないのが安保だ。にもかかわらず、与党代表が現存する北朝鮮の核の脅威を直視せず、北朝鮮に対する警戒心を弱める主張を公然とするとは、韓国の安全が保たれるのか心配だ。