「映画やドラマで素敵な主人公として登場するプリンスが『未必の故意』で殺人をするのはどうだろうかと想像して文を書いてみました」
ソ・アラム水原(スウォン)地検公判部検事(35・弁護士試験第2回)は最近、東亜(トンア)日報との電話インタビューで、「検察庁では、犯罪でおぞましい結果になると分かっていても犯行に及ぶ未必の故意型の犯罪者に多く出会う」とし、このように話した。ソ氏は1日から、カカオページにウェブ小説『プリンスの殺人法』を連載している。毎日、犯罪者に向き合って経験した悩みがウェブ小説の執筆につながった。ソ氏は、「多くの犯罪者が『まさか』と言って自分の内面に隠された悪意を発現させ、犯罪に及ぶ。最初はあくどい殺人犯ではないが、徐々に陰険なサイコパスの姿を現すプリンスの話を通じて、犯罪者に警告を送りたかった」と話した。
ソ氏はソウル大学法学専門大学院を卒業し、2013年に検事になり、ソウル南部地検、光州(クァンジュ)地検で勤めた。カカオページでは「チョヨン」というペンネームでウェブ小説を書いている。順調だった検事がテロで視力を失った後、過去の事件を暴く『暗黒検事』(19年)に続き、強力部検事が捜査のために保育園に偽装就職する内容の『検事の保育日誌』(20年)を連載した。2つの作品いずれもそれぞれ200万回以上閲覧され、映画やドラマ化が進んでいる。「本キャラクター」の検事と「サブキャラクター」のウェブ小説作家の活動をうまく並行させているのだ。「これまで交通、ボイスフィッシング、性犯罪、家庭内暴力など様々な事件を捜査したが、検事倫理綱領によって私が捜査した事件は作品に使わないのが原則です。個別事件でインスピレーションを得るより、犯罪者に会って抱いた考えが自然に作品に溶け込んだようです」
ソ氏は、2人の子どもを育てるワーキングママでもある。育児と業務、執筆を並行させることは大変ではないかと尋ねたところ、軽快な声で答えた。「子どもの世話する合間に作品のアイディアをメモし、週末に時々執筆します。有名出版社を通じて登壇しなくても専業作家でなくても小説を書くことができるのがウェブ小説の魅力でしょう。ずっと読者の側だと思っていた私も作家になりました。みなさんもウェブ小説を一度書いてみてください」
イ・ホジェ記者 hoho@donga.com