新型コロナウイルスの新規感染者の急増や一部地域の低いワクチン接種率への対策に苦慮するバイデン米政権が、ソーシャルメディアのインフルエンサーを利用してワクチンの接種率を高める考えを明らかにした。特に若者層に人気があり、数十万、数百万人のソーシャルメディアのフォロワーを有する10代のインフルエンサーを活用し、中高年層に比べてはるかに低い若者層のワクチン接種率を大幅に引き上げる計画だ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ホワイトハウスは最近、TikTok、YouTube、Twitchなどで活動する若いインフルエンサー約50人をワクチン広報に投じた。彼らの多くは、ホワイトハウスと数回非公開のテレビ会議を行い、ワクチンの原理や効果について学んだ。その後、本人が直接ワクチンを接種し、認証ショットを投稿したり、ワクチンについて説明する動画を制作して同じ年齢層の接種参加を促している。一部のインフルエンサーは、このようなコンテンツを制作して投稿する見返りに、米政府から毎月最大1千ドルを受け取っている。
このうち最も有名なのは、カリフォルニア州サンディエゴ出身の17歳の高校生、エリー・ツァイラーさん。ツァイラーさんは、ショートムービーアプリ「TikTok」だけで1020万人のフォロワーを有する有名人だ。ツァイラーさんは6月、あるマーケティング会社を通じてホワイトハウスのワクチン接種促進キャンペーンの参加を要請された。ホワイトハウス側は、「12~18歳の若者にワクチン接種の重要性を伝える必要が大きい。できるだけ早く返事がほしい」と言った。すぐに応じた直ちに応じたツァイラーさんは、感染対策の指令塔、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長とワクチンに関する質疑応答をする映像を撮って投稿した。
米疾病対策センター(CDC)によると、18~39歳の米国人のうちワクチンの接種を2回終えた人は半分にも満たない。50代以上の米国人の3分の2が接種を終えたのとは対照的だ。特に、12~17歳の若者の58%は、まだワクチンを一度も接種していないと集計された。
ホワイトハウスが、ソーシャルメディアのインフルエンサーに謝礼まで払って接種の促進に出たのは、ワクチンに対する誤った情報が急速に広がっていることも影響した。ソーシャルメディアには、「ワクチンを打つと不妊になる」、「接種後、体のDNAが変わる」など誤った情報が広まっている。
一部のインフルエンサーは、ワクチンの賛否論議など政治的逆風を懸念し、バイデン政権の参加要請を断ったという。しかし、TikTokで「ティンス」という名で活動するクリスティーナ・ナザルさんは、「逆風は気にしない。ワクチン接種の重要性を伝えることは正しいこと」とし、今後も参加する考えを明らかにした。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com