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「私たちにとって最大の褒め言葉は観客の涙」

「私たちにとって最大の褒め言葉は観客の涙」

Posted July. 01, 2021 08:20,   

Updated July. 01, 2021 08:20

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新鮮で豊かな旋律が耳を楽しませてくれる。繊細に変奏される叙事の上に、21世紀末に現われそうなロボットたちのこましゃくれた演技が加わると、作品は大学路(テハクロ)の「新古典」に生まれ変わった。今年で4シーズン目を迎え、22日に幕を上げたミュージカル「もしかしたらハッピーエンド」は米国、日本に続き中国進出も控えている。海外では、「韓国を代表する創作ミュージカル」というタイトルで呼ばれている。

原作のないこの純粋創作物を、斬新な素材と音楽で武装させた人たちが知りたくなる。その主人公は、劇作と作詞を担当したパク・チョンヒュ(38)、そして劇作と作曲を担当した米国出身のウィル・アランソン(40)。大学路では「ウィル&ヒュ・コンビ」と呼ばれている。人間より人間的なロボットの物語を、米ニューヨークで最も韓国的なミュージカルを作った秘訣を、最近書面インタビューを通じて聞いてみた。

現在ニューヨークに滞在しながら創作に打ち込んでいる2人は、「5年前に韓国で始まった『もしかしたらハッピーエンド』の初公演日に、客席2階の隅に座って緊張していたら、観客がすすり泣く声を聞いてやっとお互いを見つめながら安堵した時が思い浮かぶ」とし、「私たちにとっての最大の称賛は、依然として観客の涙」と答えた。大学路で行われている公演をチェックしながら、中国・上海での開幕を控えたライセンス公演、米国公演、そして新作「イルテノレ(il tenore)」もチェックするなど、かなり忙しくパンデミック期間を過ごしている。

2人が初めて出会い、コンビとして生まれ変わったのは、ニューヨーク大学でのことだ。韓国で文芸創作学科を卒業したパク・チョンヒュは、歌謡作詞家として活動していたが、突然美術を勉強するためにニューヨーク行きを選んだ。ハーバード大学とドイツでクラシック音楽を専攻したアランソンは、「まるで物を語るような」ミュージカルの音楽ジャンルにはまってニューヨークを訪れた。古典が好きだった2人は、たちまち意気投合した。最初の産物は、映画原作のミュージカル「バンジージャンプをする」だった。アランソンは、「作品の叙情的音楽が韓国で好評を得て、原作のない作品も欲しくなった。私たちの感情と価値観を最も率直に表現したのが、『もしかしたらハッピーエンド』」だと明かした。

ブリットポップバンド「ブラー」のデーモン・アルバーンのソロデビュー曲「エヴリデイ・ロボッツ」から、2人は作品のモチーフを得た。「人間の姿をしたロボットの愛」を思い浮かべながら劇を書いた。パク・チョンヒュは、「作品を書く時、周辺の人間関係で別れ、死といった喪失を経験した。喪失するかもしれない痛みを知りながら、結局心を開く行為は愛だということに気づいた」と話した。作品のロボットも、お互いを失いかねない危険を知っていながらも、心を開いて愛の感情を芽生える。

韓国語が話せるほど韓国への愛情の深いアランソンは、「ワンルーム、小さなマンションの多いソウルの『引きこもり』を考えながら、ヘルパーボットを思い浮かべた」と話した。「小さな空間に誰かを入れて心を分かち合うことがどんな意味なのか聞きたかった」と付け加えた。

他郷でも、彼らの大学路に対する愛情と関心は相変らずだ。2人は「興行作を数十年間『オープンラン』で持続できない構造的限界は残念だが、毎年数多くの創作ミュージカルが次々と出てくる韓国に驚いている。今後われわれも、共感に焦点を合わせた良い作品を披露したい」と話した。

9月5日まで、ソウル鍾路区大学路(チョンノグ)のイエス24ステージ1館、4万4000~6万6000ウォン、14歳観覧可。お問い合わせは1588-5212まで。


キム・ギユン記者 pep@donga.com