Go to contents

「資金源圧迫」を予告する韓銀と「現金散布」に走る政府与党

「資金源圧迫」を予告する韓銀と「現金散布」に走る政府与党

Posted June. 26, 2021 08:10,   

Updated June. 26, 2021 08:10

한국어

韓国銀行(韓銀)の李住烈(イ・ジュヨル)総裁が一昨日、「緩和的通貨政策を年内に適切な時点から秩序をもって正常化する」と明らかにしたことで、年内の基準金利引き上げが事実上公式化した。超低金利をさらに長引かせることになれば、史上最大の家計負債や高騰した資産価格が、韓国経済全体を脅かしかねないと判断したのだ。問題は韓銀と違って、政府与党は30兆ウォンを超える史上最大の補正予算を編成し、景気回復を図るという点だ。

与党「共に民主党」と政府は昨日も、災害支援金の支給案について議論した。すべての国民に支給すべきだという与党と違い、洪南基(ホン・ナムギ)経済副首相は「所得下位70%」への支給を主張しているが、結局80%または90%台で妥協が成立するという見通しが出ている。これとは別に政府与党はクレジットカード使用額増加分の10%を返す「消費奨励金」で消費を刺激する案も推進している。

米国などの先進諸国の経済が早いペースで回復し、インフレへの懸念が高まっているだけに、韓銀がこれ以上遅れる前に資金源を締め付ける方向に舵を切ったのは当然のことだ。家計負債が国内総生産(GDP)規模に迫り、首都圏のマンション価格が1週間で1億〜2億ウォンずつ高騰するなど、低金利の副作用がますます大きくなっている。このような状態を放置して世界的に緊縮すれば、資産価値の急落や個人破産、金融システムの混乱など、連続的な危機につながりかねない。

韓銀が警告音を発したが、政府・与党の資金供給は止まる気配がない。災害支援金は、基準がいくらであろうが、必ずしも必要でない階層にまで計10兆ウォンを超える資金が供給される。毎年100兆ウォンずつ増える国の借金を少しでも減らすのに使われるべき資金が、市場に供給され、インフレや資産市場のバブルのみさらに増大させる可能性が高い。

新型コロナ禍の直撃を受けて廃業の危機に追い込まれた小商工人・自営業者に対する支援は当然、迅速かつ厚く行われるべきだ。だからといって過剰流動性を減らしていかなければならない時に、消費余力が十分な人にまでお金を握らせながら消費を促すのは、自動車のブレーキとアクセルを一緒に踏むのと同じことだ。

洪副首相は昨日、別々に扱われている通貨と財政政策と関連して、国会で指摘を受け、「行き過ぎた食い違いが出ないよう努力する」と述べた。しかし、すでに明らかにした補正予算の計画だけでもマクロ政策の衝突は避けられない。つじつまの合わない政策が続けば、家計負債や不動産問題はさらに悪化し、不要に国の借金ばかり膨らむのは避けられないだろう。