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ロシアは今日も歴史を書き改める

Posted June. 05, 2021 08:09,   

Updated June. 05, 2021 08:09

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「ロシアは確かな未来のある国だ。予測できないのは過去だけだ」

本を開くと、意味不明なロシアのことわざが出てくる。米ニューヨーク大学国際学科教授を務めた著者は、ロシアを広大な領土同様、分かりにくい国と規定した。著者は序論で「ロシアは自然的境界も、単一の民族も、中心となる明らかなアイデンティティもない国」とし、「明らかな領土境界がない状況に対するロシアの対応は、絶え間ない拡張だった。これを通じて新たな民族、文化、宗教アイデンティティが付け加えられた」と強調する。

このことわざには、ロシアが自国の歴史を現在の必要に応じて再解釈することが可能な国という意味が含まれている。実際、9世紀頃のリューリク朝を皮切りに、帝政ロシア、ボルシェビキ革命とソビエト支配、現在のプーチン大統領まで、権力が歴史を書き改めた。歴史を歪曲したという否定的な観点ではなく、広大な領土、多様な宗教や文化を持ったロシアの複雑なアイデンティティのためには避けられないということだ。

同書は、イヴァン4世、ピョートル大帝、エカチェリーナ女帝、スターリン、プーチンなど時代を代表する絶対権力者を中心に構成された。国家をしっかりと手中に収めなければ、全てちりぢりに散ってしまうという恐れは、すべての権力者の共通の悩みだった。


金甲植 dunanworld@donga.com