Go to contents

神話の中の英雄が音楽として蘇ったら

Posted May. 15, 2021 08:11,   

Updated May. 15, 2021 08:11

한국어

オルフェオのアリア「エウリディーチェを失って」のメロディーは悲しい。この曲のモチーフになった神話の内容を知れば、その悲しみは一層深まる。オルペウスは森の妖精エウリディーチェに惚れて結婚するが、牧童の攻撃で妻を失う。彼女を蘇らせようと、あの世に向かったオルペウスは、歌でハデスを感動させる。あの世から離れるまで、妻を見ないという条件で彼女を返してもらうが、焦りに振り向いたため、エウリディーチェを永遠に失う。

クラシック鑑賞室「ムジークバウム」を運営する著者は、ギリシャ・ローマ神話を基に生まれたクラシック音楽をこの本で紹介している。古代ギリシア・ローマ神話は、人間史の喜怒哀楽を凝縮しており、文学、美術、映画など数多くのコンテンツのアイデアを提供した。これまで神話に基づいたクラシックを紹介する本はほとんどなかった。この本は、名前だけ知られている神話の中の様々な神と英雄たちの話とともに、彼らと関連したクラシック音楽を詳しく説明している。

クラシックについてよく知らない人には、入門書としても最適の本だ。クラシックの形式や構造を頭が痛くなるように考えるより、音楽の背景にある物語を通じて感傷的にアプローチすることが可能だ。禁忌の欲望を運命に生まれ持ったオイディプース、欲情をそそる矢を放つエロスなど、神話の中の人物の物語がどのように音楽として生まれ変わったのかを知っていく過程は興味深い。本にはオンラインで音楽を聴けるQRコードが添付されている。神話を吟味しながら聞けば、感傷の深さも変わるだろう。


金哉希 jetti@donga.com