Go to contents

勝者なき戦争

Posted April. 08, 2021 08:14,   

Updated April. 08, 2021 08:14

한국어

頭のない2人の男が銃口を向け合っている。2人ともビクトリア時代の貴族の服装だが、色とりどりの模様の服は極めて「アフリカ的」だ。英国貴族の男がなぜアフリカの布でつくった服を着ているのか。アーティストは頭のないマネキンになぜ銃を握らせたのか。

ナイジェリア系英国人インカ・ショニバレは、写真、絵画、彫刻、映像など様々な手法を使うが、華やかな服を着せたマネキンの作品で最も有名だ。作品に使われた強烈な色と模様の布を見て、誰もが「アフリカ的」と感じる。本当にそうだろうか。これがまさにショニバレが作品を通じて投げかけようとした民族アイデンティティに関する重要な質問だ。ショニバレが使う布はバティック(ろうけつ染めの布)と呼ばれ、アフリカ固有のものではない。インドネシアの伝統の布であるバティックは、植民地時代にオランダを経て英国で大量に生産された後、再びオランダを通じてアフリカに輸出された。当初、オランダ商人はインドネシアに売ろうとしたが、期待に反して商売がうまくいかず、別の植民地である西アフリカに方向を変えたのだが、彼らの予想は的中した。華やかで大胆な模様に対するアフリカ人の反応は熱く、これはすぐにアフリカ的なものとして世界に認識された。今でもオランダは、アフリカのバティックの最大輸出国だ。ゆえにアフリカ的とされたバティックは、近代の植民支配の過程で人為的に作られた織物であり、複雑な歴史的・文化的矛盾の中で誕生したものだ。

この作品は、私たちが生きている、戦争のような世の中に対する風刺でもある。頭がないということは、理性や考えがないことを意味する。理性的思考ではなく一方的な主張と盲目的信念だけの世の中では、葛藤と戦争は必然だ。ショニバレは、「相手と自分の頭を同時に吹き飛ばすのがまさに戦争」と話す。いずれにも致命的な傷と被害を与えるためだ。結局、戦争に勝者はいないということだ。