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最悪の法治破壊と記録される初の検事総長への懲戒

最悪の法治破壊と記録される初の検事総長への懲戒

Posted December. 17, 2020 09:47,   

Updated December. 17, 2020 09:47

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が16日、法務部の懲戒委員会の議決どおり、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長に対する停職2ヵ月の懲戒処分を裁可した。任期が保障されている現職検事総長に対する初の懲戒処分で、尹氏は再び職務が停止された。

 

懲戒の程度は当初予想された解任や免職処分よりも軽く、停職2ヵ月にとどまった。秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が提起した懲戒請求理由の相当部分が誇張であったり、根拠がないことを与党寄りの人々で構成された懲戒委ですら否定できなかったのだ。無理な懲戒理由と手続き上の欠陥のため、今後裁判所への提訴で懲戒そのものが違法判決を受ける可能性が高いと判断されたため、窮余の策で程度を調節したという分析もある。

秋氏が提起した6つの懲戒請求理由のうち、懲戒委が認めたのは3つだけだ。認められた懲戒理由も簡単には納得できないものだ。まず、退任後に政治をしないと明確に言及しなかったということを懲戒理由とした。検察トップが退任後に政治をするのは不適切だと非難されるかもしれないが、尹氏は退任後に政治をすると宣言したわけでもない。これを政治的中立義務の違反と見るのは、主観的な解釈に基づいており、類推解釈を禁止する罪刑法定主義と証拠裁判主義に反する。

チャンネルAの「シンラジェン疑惑」取材事件での監察・捜査妨害も、検事総長の指揮権領域で起こったことだ。検事総長の裁量範囲内にある指揮権の行使をめぐって、政権の意向に合わないからといって監察・捜査妨害に追い詰めることは、検察権の侵害だ。報告書「主要事件裁判所分析」は、秋氏と与党が「不法査察」に追い詰めて犯罪行為のように既成事実化したが、懲戒委ですら不法査察と断定できなかった。

 

今回の懲戒処分は、検事総長任期制を法務部長官の監察・懲戒権乱用を通じて無力化できるという悪例を残した。現執権勢力は、検察改革という大義名分の下、懲戒権を動員して民主化以降、定着してきた検察の独立性を押し倒した。憲政史と検察の歴史で最悪の法治蹂躪行為と記録されるだろう。

事実関係も十分に立証されていない懲戒理由で法治の毀損を主導した秋氏はもとより、これを擁護し放置した大統領と首相、与党代表もこの責任から自由ではない。尹氏は、懲戒効力執行停止申請と懲戒処分取り消し訴訟を裁判所に起こす構えだ。尹氏個人の不利益の問題ではなく、民主主義制度の一つとして守られるべき刑事司法システムを生きた政治権力が侵害した重大事案であるため、司法府は迅速かつ厳正な判断を下さなければならない。