ポーランド出身の世界屈指のストライカー、ロベルト・レバンドフスキ（３２＝バイエルン・ミュンヘン）は、悲願の「ビッグイヤー」（欧州チャンピオンズリーグ優勝トロフィー）を両手で持ち上げては口づけをした。競技場は欧州を制したバイエルン・ミュンヘン（ドイツ）の選手たちの雄叫びがこだました。そうしてお祭りが始まったグラウンドの上を、ブラジル代表エースのネイマール（２８＝パリ・サンジェルマン）は寂しそうに通り過ぎた。手に入らなかったビッグイヤーを触るネイマールの目は潤っていた。
レバンドフスキが率いるミュンヘンが２４日、ポルトガル・リスボンで行われた２０１９～２０２０シーズン欧州チャンピオンズリーグ（ＣＬ）決勝で、後半１４分に生まれたキングスレイ・コマン（２４）の決勝ゴールを守り切り、ＰＳＧを１－０で下した。大会通算６度目の優勝を果たしたミュンヘンは、今季ブンデスリーガとＤＦＢポーカル（ドイツ杯）、欧州ＣＬを席巻し、クラブ史上２度目のトレブル（３冠）を達成した。欧州サッカーで、トレブルを２度達成したのはＦＣバルセロナ（スペイン）に次いで２番目。また、ミュンヘンはグループステージから決勝までの１１試合で引き分けなしの全勝を挙げ、欧州ＣＬ史上初となる全勝での優勝を果たした。
世界サッカーの両大山脈と称されるリオネル・メッシ（ＦＣバルセロナ＝シーズン３１得点）とクリスティアーノ・ロナウド（ユベントス＝シーズン３７得点）がそれぞれベスト８とベスト１６で敗退した中、今季に爆発的な得点力を発揮し、「メナルド（メッシとロナウド）時代」に終焉を告げたとの評価を受けるレバンドフスキは欧州最高のストライカーに浮上した。
今季公式戦で５５ゴールを決め、欧州５大リーグ（スペイン、ドイツ、イングランド、イタリア、フランス）の選手のうち最多得点を記録したレバンドフスキは、欧州ＣＬでも１５ゴールで得点王に輝いた。レバンドフスキは、チームのトレブル達成とともに得点王トレブルも達成した欧州ＣＬとブンデスリーガ、ＤＦＢポーカルで得点王になったのだ。スペイン紙マルカは、「レバンドフスキが１９７１～１９７２シーズンのアヤックス（オランダ）のトレブルとともに得点王トレブルを達成した「レジェンド」ヨハン・クルイフと肩を並べた」を報じた。
決勝では、惜しくも得点がなかったが、準決勝までは出場した全試合（９試合）で得点を挙げたレバンドフスキは、ミュンヘン優勝の最大の立役者だ。サッカー界で最も権威ある賞「バロンドール」表彰式が新型コロナウィルス感染症の影響で中止されなければ、今年のバロンドールはレバンドフスキが受賞しただろうという見方が支配的だ。初の欧州ＣＬ優勝を果たしたレバンドフスキは、ソーシャルメディア（ＳＮＳ）に「夢見ることを止めないで。失敗しても諦めずに目標を目指して頑張れ」とのコメントを投稿した。
決勝ゴールの主役、コマンは古巣を沈めて注目を集めた。コマンはＰＳＧユースチームで成長し、２０１３年にＰＳＧでプロデビューした選手だ。２０１４年にチームを退団し、ユベントス（イタリア）を経てミュンヘンに加入したコマンは、ＰＳＧの欧州制覇という野望をくじくゴールを決めた。所属した全てのチームでレギュラーリーグ優勝を経験するなど運にも恵まれたコマンは、「とても幸せだが、ＰＳＧのことを考えると心が少し痛む」と話した。
２０１１年にカタール投資庁がＰＳＧ株を買収して以来、１兆ウォンを超える資金を選手獲得につぎ込んだＰＳＧだが、クラブ創設５０年で欧州ＣＬ決勝進出は果たしたものの、ミュンヘンの壁を超えることはできなかった。サッカー界史上最高額の移籍金（約３１２０億ウォン）を記録したネイマールを前面に立てた攻撃陣は９本のシュートを放ったが、ミュンヘンの守護神マヌエル・ノイアーの牙城を崩せなかった。２０１４～２０１５シーズンにバルセロナ所属で欧州ＣＬ制覇を味わって以来、２度目の優勝を狙ったネイマールは、悔しさの涙を流し続けた。ネイマールは、ツイッターに「敗北はスポーツの一部。我々は最後まで戦った。ミュンヘンの優勝を祝福する」と投稿した。
敗北を認めたネイマールとは違い、フランス・パリのサンジェルマン通りとＰＳＧの本拠地に集まって応戦を繰り広げた一部のファンは、試合後に暴動を起こして物議をかもした。「フランス２４」などによると、ＰＳＧの敗北に怒りを覚えたサポーターたちは車を放火したり商店のガラスを破ったという。事態を鎮圧しようとする警察と衝突した１４８人が逮捕された。
鄭允喆 trigger@donga.com
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