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欧州チャンピオンズリーグが向き合った2つの戦線

欧州チャンピオンズリーグが向き合った2つの戦線

Posted August. 14, 2020 08:56,   

Updated August. 14, 2020 08:56

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「軍事作戦を連想させる防疫対策」

中欧標準時(CET)で午後8時50分、感染していないボールを選んで配置する。8時53分、選手たちがロッカールームから出る。8時57分、選手たちがスタジアムに入る。この時、各選手たちは、1メートルの間隔を守らなければならない。観客はいない。8時57分、50秒間、選手たちの団体撮影を開始する。8時58分にコインを投げてチーム位置を決める。9時に試合開始。

米ニューヨークタイムズが最近伝えた2019~2020欧州チャンピオンズリーグ(CL)試合のマニュアルの一部だ。ポルトガルのリスボンで、スペインのFCバルセロナとドイツのバイエルン・ミュンヘンなど5カ国8チームが準々決勝を行っている今大会は、新型コロナウイルス感染症対応策として、分刻みで組まれたスケジュールの中に開かれている。各チームの選手たちは、それぞれ自分の国から出国する前に一度、リスボンに到着後にもう一度コロナ検査を受けなければならない。検査結果は、試合6時間前まで提出しなければならない。各チームが泊まる宿所はもとより、練習場内の練習区域も事前に地図に印をして提供された。汗を流すメニューは芝生の外でやらなければならず、特にゴールの入り口側の芝生は触れてはならない。実際の試合が開かれるときに備えて、芝生が感染することを防ぐためだ。また、チーム別に130ページにのぼる様々な規定と説明が伝えられた。スタジアム内には、各チームのスタッフなど最少の人数だけが入れるようにしており、エリアごとに出入りの人数を決めて、最大で120人以上が一度に集まることができないようにした。

このように細かくて厳しい規制は、新型コロナの拡大の中で大会を行うUEFAがどれだけ緊張しているかを示す。分単位まで選手を制御しようとするのは、ひょっとして起こるかもしれない変数を最大限減らすためだ。

欧州CLは、サッカーファンに最も人気のある大会の一つだ。しかし、仮に一人でも大会中に感染する事態が起きれば、大会の人気とは関係なく「無責任だ」という非難を浴びるのは明らかだ。感染対策がそれぞれ異なる国の選手たちを集めて、大会を実施しなければならないUEFAとしては、興行に劣らぬほど安全を主な目的としている。参加者が感染にさらされないように、感染者なしで試合を行うことが大原則だ。チームで感染者が発生して、選手団を作ることができなくなれば、没収試合として0-3の負けに処理することにした。先発出場選手11人と候補選手2人を含む13人を作ることができない場合だ。新型コロナ感染への恐怖の中で開催される今大会では、各チームがこのような雰囲気にどれほど適切に対応するかも、優勝をめぐる重要な影響要因となっている。

原則通りにすれば、新型コロナがおさまるまで大会を開いてはならない。しかし、様々なテレビ放映権や様々な産業と繋がっている現代スポーツの属性上、いつまでも大会を中止しているわけにはいかない。そうなれば、次の大会日程にも支障がきたすだけでなく、様々な収入構造がゆがんで、大会存立が揺れる。困難を押し切って、大会を開かざるを得ない状況こそ、この時代のスポーツイベントが直面している困難を示す。

UEFAは、大会を強行するものの、規模を大幅に縮小した。過去3ヶ月にわたって行われた準々決勝と準決勝、決勝を圧縮して、13日から24日までの3週間以内に終えることにした。また、各チームの本拠地を行き来しながら第1、第2戦を行った準々決勝と準決勝戦も、すべてのチームが一堂に集まって、一発勝負で行う形式に変えた。最大限制御が可能なように、一か所で、できるだけ早く試合を行うことにしたのだ。

このような点は、今日のスポーツイベントを巡って、どれだけ緻密で大規模な防疫戦線が必要かを示している。この戦線には、参加者全員の長期的生存がかかっている。これ以上スポーツイベントができなくなれば、大きな打撃を受けるからだ。結局、参加者たちは、2つの戦線で戦っていることになる。一つは、優勝に向けたグラウンド上の戦線であり、もう一つは、新型コロナとの戦線だ。グラウンド上では、自分とチームの優勝のために競わなければならないだろうが、防疫戦線では、個々の勝敗ではなく、全員の勝利のために戦わなければならない。


李元洪 bluesky@donga.com