Go to contents

警・検・裁・弁・科捜研が作り出した20年獄中の濡れ衣

警・検・裁・弁・科捜研が作り出した20年獄中の濡れ衣

Posted December. 18, 2019 08:31,   

Updated December. 18, 2019 08:31


警察は昨日、華城連続殺人8次事件の担当警察と検事など8名を公務員職権乱用等の容疑で正式に立件した。また、尹某氏を真犯人にするための決定的証拠を提供した国立科学捜査研究院(科捜研)の鑑定結果も捏造したものであることが確認された。科捜研の鑑定人は科学的に検証していない自分の研究を鑑定に用いる過程で試料の分析結果値を操作した。

30年前のこととはいえ、尹氏が真犯人に追い込まれる過程は、韓国の司法システムが弱者に対していかに不当に働いていたのかを克明に語る。警察は小児麻痺で足が不自由な尹氏にうさぎ跳びを強制し、殴打しまくり、自白するまで3日間眠らせなかった。真実を究明すべき最後の砦となる科捜研は鑑定結果をでっち上げた。担当検事は実際の現場状況と尹氏の自供が異なるところが多いものの現場検証でこの点を問題にしなかった。被害者の自宅の門が開いていたのに、足の不自由な尹氏がなぜ背丈よりも高い塀をよじ登ったのか、塀に手足を使った痕跡が全く残っていないのはどうしてか、疑問を抱こうとすればいくらでもあったのに検察はもちろん、裁判でも疑問は提示されなかった。

尹氏に当てられた国選弁護人は結審公判の際、理由もなく現れなかった。代わりに付された他の国選弁護人は尹氏に面会もしていない。1審で無期懲役を宣告された尹氏は無罪を主張したものの、国選弁護人は初犯であること、障害による偶発的な犯行であることから善処を願うというあり得ない控訴理由書を提出した。控訴理由書は二つの相反する内容で書かれているにも関わらず2審、3審の裁判ではこれを棄却した。そもそも司法部は事件記録に目を通していたのだろうか。事件捜査から最終審に至る全ての過程で、自分の職務に忠実な人が一人でもいたら、無念の殺人犯という確定判決はなかったのかも知れない。その間、担当捜査官は特別昇進という報償と共に引退し、尹氏は2009年20年の服役を終えて、仮釈放になった。

警察が正式に立件したとはいえ、この事件は公訴時効が過ぎているため処罰は不可能だ。当時の関係者もこの点を利用し身を隠したり、すでに亡くなっている同僚に責任を転嫁している。警察は当時、捜査に関わった警察官51名のうち、死亡あるいは所在不明の14名を除く37名について捜査を行なったと明らかにした。直接不法行為に加担していなくても、この事件の実態について詳しい関係者はさらに多いはずだ。国家公権力を行使する人たちによって一人の若者の人生が無残にも踏み躙られた事件だ。加担の程度、処罰の有無を問わず、自分たちの行為によって莫大な被害を被った尹氏の前に心からの謝罪をすべきだ。