Go to contents

神聖な土地の戦争

Posted October. 15, 2019 08:34,   

Updated October. 15, 2019 08:35

한국어

ギリシャで宗教的に最も神聖な地域はどこだろうか。古代ギリシャを基準に見れば、アポロンの神殿があるデルフォイだろう。近現代を基準にすれば、東方正教会の修道院が密集したメテオラだ。メテオラは「空中に吊り下げられた」、「空に浮かぶ」などの意味だ。アテネから5時間以上かかる北部セサリア地方に位置し、「世の中にメテオラのようなところはメテオラしかない」という言葉もあるほど垂直の岩や奇岩怪石、その上に立てられた絵のような修道院で有名だ。

ところで、ここを訪れる人々が見逃すことが一つある。ここが第1次、第2次世界大戦の激戦地だったということだ。メテオラには現在6つの修道院が残っているが、そのうち最も大きいグレート・メテオラ修道院に行けば、当時の戦争画を展示している廊下がある。多くの人々が見ずに通り過ぎるこの空間には、弱小国だったギリシャがドイツやイタリアとどのように戦って国を守ったのかが描かれている。

ギリシャ軍はメテオラの地形を利用して山の上に拠点を置き、大砲を分解してロープで岩山の上に引き上げた。老若男女を問わず弾薬箱や補給品を背負って垂直の絶壁を登った。男たちが絶壁の上で銃弾を浴びせ、女たちは石をつかんで絶壁の下へ投げつけた。少し感性的で愛国的なにおいがするが、弱小国の立場では仕方がないと思われる。この神聖な場所が血の激戦地だったという事実が、悲しくも驚くべきことと感じられるかも知れない。しかし、大切なこと、ひいては高貴で神聖なものだとしても、血と汗なく守ることはできない。古代アテネの政治の中心でギリシャ文化の象徴と言えるパルテノン神殿があったアテネのアクロポリスも本来の機能は要塞だ。近頃の韓国社会がこの基本的な真理を忘れ、意図的に否定まですることが非常に残念だ。



シン・ムギョン記者 yes@donga.com