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「韓国当局者」を名指しした金正恩氏のミサイル脅迫、北の機嫌を意識してきたところの苦々しい結果

「韓国当局者」を名指しした金正恩氏のミサイル脅迫、北の機嫌を意識してきたところの苦々しい結果

Posted July. 27, 2019 09:22,   

Updated July. 27, 2019 09:22

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が25日、弾道ミサイル発射について、「(韓国側に)厳重な警告を送るための武力示威の一環」と述べたと、朝鮮中央通信が26日付で報じた。この報道で、「警告」表現が3回も登場した。北朝鮮が5月のミサイル発射は、「火力訓練計画」とし、今回は「武力示威」と言及したのは、韓国に対する明白な脅迫だ。特に正恩氏が、「南朝鮮当局者が人々の前では『平和の握手』を演出し、共同宣言のような文書を交わしながら、自国に戻ると不可解なことをする」と言うのは、会談当事者である文在寅(ムン・ジェイン)大統領を批判したも同然だ。

北朝鮮が、ミサイル挑発を来月予定された韓米合同軍事演習「同盟19-2」と韓国側の先端ステルス機の導入に対する反発であることを明確にしたが、的外れだ。大規模な韓米合同軍事演習は昨年中止された。今年から大幅に縮小された形態で進められる演習は、シミュレーション中心の指揮所演習(CPX)だが、演習中止を云々するのは、強引な主張だ。ステルス機の導入は、主権国家なら国防強化のためにすべき当然の措置だ。北朝鮮の挑発は、非核化の実務協議を控え、米国には触れずに韓国を揺さぶり、米国への圧力を強めようという典型的な瀬戸際戦術だ。

文大統領は昨年、FOXニュースとのインタビューで、「中止された軍事演習は、北朝鮮の行動しだいでいつでも再開できる」と述べた。しかし、合同軍事演習はある日突然再開できるものではない。作戦計画の樹立や兵士の移動、物資の展開などに数ヵ月間、緻密な準備作業が必要だ。いくら性能の良い兵器があっても、これを運用する軍の能力と組織力が持続的な演習で裏付けられなければ、無用の長物になるほかない。このような状況を知る政府が、北朝鮮を意識し、大規模な合同軍事演習の中止に続き、今回の演習の名称まで修正したことが、正恩氏が警告する事態の口実を与えたという指摘もある。

北朝鮮のミサイル挑発で核・ミサイル脅威は、新たな局面に入った。新型短距離ミサイルである北朝鮮版イスカンデルは、50キロ以下の低高度飛行のため探知および迎撃が難しい。特に、軍当局は、探知-追跡-着弾地点の予測に失敗し、2発のミサイル飛行の距離を2日間で3度も修正した。これでは、韓米が保有する高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)やパトリオット(PAC)-3による迎撃も難しい。このミサイルが実戦配備されれば、済州(チェジュ)を除く韓国全域が射程圏内に入る。既存のミサイル防衛体系が無力となる状況に備えた軍当局の対策が急がれる。