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[オピニオン]韓国のホーキングたち

Posted February. 18, 2016 07:25,   

Updated February. 18, 2016 07:30

「セレブの生活をしながら一番大変なのは、どこに行っても自分だと気付かれることだ。サングラスや鬘はあまり役に立たない」。アイドルではなく、英国の天才物理学者、スティーブン・ホーキング氏が漏らしたユーモア交じりの愚痴だ。それもそのはず。顔は隠しても車椅子まで隠す方法はないはずだから。彼の人気ぶりを証明するかのように、2004年のBBCドラマ「ホーキング」に続いて、一昨年は「博士と彼女のセオリー」(原題:The Theory of Everything)というハリウッド映画も作られた。

◆ソウル大学の李尚黙(イ・サンムク)地球環境科学部教授は、韓国のスティーブン・ホーキングと呼ばれる。2006年、米国で車が転覆する事故で全身麻痺となったが、惨憺たる絶望と身体の限界を克服した点でホーキング氏に似ている。一昨日、ソウル江南(カンナム)セブランス病院で「韓国のホーキングたち、おめでとうございます」と題して開催されたイベントで李教授が残したメッセージが話題を呼んでいる。「ソクラテスは、人間らしく生きるとは、恵まれた家で生まれて豊かな暮らしをすることではなく、人生が投げかける試練と苦難に立ち向かって逞しく生きることだと言いました。障害を通じて、そのような生き様の条件を満たすことができたことに満足しています」。

◆イベントの主人公たちは、息をすることさえ困難な障害を乗り越えて大学に入った新入生5人と卒業生4人だった。李教授は、自分の経験を踏まえて「障害が身体の自由を拘束しても、夢や希望まで拘束することはできない」と言い、「不便ではあるが、障害のためにできないことはない」と説いた。実際、彼は車椅子に縛られる身となってから、意味ある人生、広い世界に出会うことができたと話した。李教授の前向きなマインドについては、友人たちも「事故に遭ったとき、頭の中で否定的な考えを担当する部分が傷ついたようだ」と冗談を言うほどだ。

◆映画「博士と彼女のセオリー」で、ホーキングは言う。「人間の努力には、いかなる限界もない。いくら人生が苦しくても、私たちは何かをやれるし、成し遂げられる。生命があるところには希望がある」。生後8ヵ月、もしくは4才の時に訪れた試練と苦痛にも、「自分の前の生」に全力投球している韓国の若きホーキングたちが、まさに生きた証拠なのだ。彼らの前では、健康な体をしている若者たちが「ヘル朝鮮」「金の匙、土の匙」云々と吐いている愚痴が空しく聞こえそうだ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com