「○○○運転手はいかがでしたか?」。カカオタクシーから降りた乗客らは、このようなメッセージを受け取る。最大で5つの星のうち、乗客が自ら評価した星の数をつける。運転手のサービスが気に入らなければ、星は減ることになる。もちろん、サービスが素晴らしかったら、5つの星でも足りないかもしれない。しかし、客らの悪い評判が累積されれば、カカオタクシーから追い出されるかもしれない。
◆とはいえ、客は王様ではない。カカオタクシーは、運転手が乗客をも評価する。乗客が車を呼んたのに、待たず、そのまま行ってしまう「パワハラ—」をすれば、運転手は低い点数をつける。この点数が一定のレベルにたまれば、該当乗客に「イエローカード」が発行される。「この人はダメな乗客です」という情報を運転手らが共有することになる。駄目な客としてブラックリストに載れば、カカオタクシーを利用する考えなどしない方がよい。
◆慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)の地元企業・モンゴ醤油が昨日、主要新聞に軒並み謝罪広告を掲載した。同社の名誉会長が40代の運転手に、暴言や暴力をふるった。運転手の暴露で、名誉会長のパワハラ—が明らかになると、同社は一気に醤油の色と同様に、真黒な泥水を吹っ掛けられた。ある意味では、名誉会長個人の人間性や気性に関する問題であり、醤油の品質とは関係がないのに、憤った消費者らは不買運動まで繰り広げようとしている。110年間、醤油という一つの分野に集中してきた由緒ある企業のイメージが真っ逆さまに落ちた。名誉会長ではなく、代表取締役名義の謝罪で、この騒ぎが収まるかわからない。
◆情報技術(IT)の発達で、ソーシャルネットワークサービス(SNS)か活発化し、「評判経済(Reputation Economy)」時代を迎えている。顧客や内部者がその気さえあれば、企業の素顔が丸ごと明るみに出る。しかし、企業各社の対応手段はあまりない。米グルメ評価アプリ・イエルプ(Yelp)の横暴に耐え切れなかった複数の飲食店が、評価団の食べ物につばや鼻水などの異物を入れることにした、というニュースも聞こえてくる。良いイメージを築き上げるのには長い時間がかかるが、そのイメージが泥沼の中に落ちるのは一瞬のことだ。すべての人がすべての人を監視する時代に、我々は暮らしている。
異鎭(イ・ジン)論説委員 leej@donga.com






