朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、訪中の期間、中国の習近平国家主席から手厚い礼遇を受けた。朴大統領は約60年前、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)が立った天安門の城楼で、中国の抗日戦争勝利70年の軍事パレードを見守り、上海を経て4日、帰国した。4日には上海の大韓民国臨時政府庁舎の再開館式に出席し、国権を喪失した時に愛国の志士が独立運動を行った現場を見て回った。中国が改装工事費を全額負担したのも、両国が共に困難を克服した「患難之交(困難を共に経験した間柄)」の歴史を振り返り、友情を確かめるという意味だろう。
4日に発表された韓国ギャラップが1〜3日に調査した大統領の国政遂行に対する支持率が、54%に急上昇した。朴大統領は13回の海外歴訪直後、9度も支持率が上昇するほど「外交がうまい」と評価を受けている。毎度、国内政治の失敗で落ちた支持率を外交で埋め合わせる格好だ。天安門の城楼に座って軍事パレードを見る朴大統領の表情は明るくなかった。韓国が中国に近づくほど、同盟関係の米国、そして多くの点で協力すべき日本との関係がなおざりになっているのではないか憂慮する声も少なくない。朴大統領が中国の国威発揚を現場で目撃し、何を考えたのか気になる国民も多い。
大統領はこのような憂慮に対して説明する必要がある。今後、どのような外交戦略を駆使して北東アジアの新しい地図を描いていくのか記者の前で明らかにすることで、国民の知る権利を満足させることを望む。閣議や首席秘書官会議で発言する形では、国民との真の意思疎通はできない。1ヵ月前、政権後半の国政運営について国民に伝える際、朴大統領は談話文だけを読んで終わらせた。朴大統領は昨年1月の新年会見でも記者会見をせず、メディアとの会見を敬遠する。記者会見を望まないなら、国民の代表である与野党執行部を招請して説明することを望む。
労働改革をはじめ、公共、金融、教育の4大構造改革をどのように成し遂げ、なかなか回復の兆しを見せない経済をどのように活性化するのか、朴大統領も計画が多いだろう。このような課題は大統領一人が努力したからとできることではない。国民と野党を説得して協力を求めなければならない。その出発点は意思疎通だ。支持率が高まった今が絶好の機会だ。






