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在来黒豚はなぜ消えつつあるのか

Posted April. 18, 2015 07:20,   

▼本当の在来豚を求めて

8日午後1時、江原道洪川郡化村面九城浦里(カンウォンド・ホンチョングン・ファチョンミョン・クソンポリ)1716。本当の在来豚があるという「サンウリ在来豚農場」を訪れる道中だった。曲がりくねった砂利道を車でしばらく行くと、道の終わりの山の斜面に畜舎と家が見えた。携帯電話も通じず、人影もない。遠くから犬が吠える声だけが聞こえた。しっぽを振るのを見ると、歓迎しているようだった。

「遠くからいらっしゃったのに…。在来豚が数頭しか残っていません」

農場の主のユン・ヨンベさん(49)は、記者を見てただ残念がった。ユンさんは、2000年代初頭に12頭から在来豚の飼育を始め、最盛期は3000頭にまで増やした。在来豚12頭は、農村振興庁国立畜産科学院が在来豚復元事業の一環で1988年に全国をまわって探した個体だった。

「2000年代初頭に、高城(コソン)、寧越(ヨンウォル)、華川(ファチョン)、洪川の4ヵ所で35の農家が在来豚をもらって育てました。その時は黒豚で有名な日本の鹿児島のように江原道でも在来豚の飼育業を大きく育成しようと考えていました」

ユンさんは2008年6月、「在来豚」の血統登録をした。バークシャーやデュロックのような外来豚の品種と自分が育てる豚のDNAが違うことを政府に認められたのだった。品種の特徴が文献にある固有の韓国豚と同じであることも証明された。2009年8月には、畜産科学院と共同研究・技術支援了解覚書(MOU)を締結した。在来豚の研究が活発だった時期だった。

▼韓国人と似ている豚

在来豚の顔の話が出ると、ユンさんが「直接見なければ分からない」と記者の腕を引っぱった。畜舎に行くまでの道は、豚のふん尿の臭いで、思わず眉間にシワが寄った。しかし、畜舎に入った瞬間、驚いた。スマートな豚だとは…。豚は驚いた記者を、記者はユンさんを見た。

「在来は元来太っていません。豚は自分より大きな人が来ると驚いてじっと見ます」

体長が1メートルにもならない在来豚は、斑点もなく真っ黒だった。しっぽは、「削除」を意味する校正記号のように巻かれていた。ピンと立った耳の間に小さな鼻が見えた。とても可愛い容貌だった。

「額に『川の字』のシワがあるのが特徴だが、小さくて目鼻立ちが繊細なところが韓国人に似ている。外来種は大きく、鼻も非常に大きいところが外国人のようだ」

韓国の在来豚は、満州地域で棲息した豚のうち移動が容易な小型種が約2000年前、高句麗時代に入って定着したと伝えられている。1920年発刊の『朝鮮農業便覧』には、「在来豚は、毛が黒く、体が小さく、体重は22.5〜32.5キロで肥満性はないが、体質は強い」と記されている。朝鮮王朝実録(世宗27年、1445年1月18日)には「議政府(ウィジョンブ)で遼東の豚を持ってきて飼育することを建議する」という内容がある。「以前に飼育した祭事用の中国の豚は在来と雑種になり、体が小さく太らないので祭事に合わないため、(遼東に行く人が)買ってくるようにせよ」という内容だ。

在来豚は、体は小さいが容姿のよさ同様、味がいい。ユンさんは、「一般の人が分かるほど味に違いがある」と話した。肉質がよく旨みがあるのが特徴で、肉を凍らせて解凍しても美味しい。ユンさんは、「在来豚は、筋繊維が細くて硬くなく、ばさばさもしていない。普通、硬くて焼肉用には使わない後ろ足も、焼いて食べられるほど美味しい」と話した。

実際に畜産科学院によると、在来豚の肉にはコクを出すアミノ酸であるグルタミン酸(3.3%)が改良豚(2.5%)に比べて多く含まれている。畜産科学院のホン・ジュンギ研究員は、「(在来豚は)脂肪がとてもいい。簡単に言えば肉質が優れている」と説明した。

▼屠殺費用も2倍

しかし、在来豚をめぐる現実はそれほど明るくない。

「金になりません。今は皆たたんで私の農場だけ残りました。私も豚が300頭もいません」

ユンさんはポケットからタバコを取り出し、手に握ったまま言葉を続けた。在来豚を飼育していた農家は、収益性が低いため、事業をたたむしかなかった。一部の農家は飼育していた在来豚を外来品種の豚と交配させたりもした。

現在、純種の在来種子豚を保有している所は少ない。このような深刻な状況を受け、文化財庁は今年3月、済州(チェジュ)黒豚を天然記念物第550号に指定した。済州黒豚は、サンウリ農家の在来豚と同じ品種だ。

「利益を出すこともできず、1年に1億ウォン注ぎました。休む日もなく使命感を持っていましたが…私もたたもうか悩んでいます」

在来豚の収益性が良くない理由は、品種の特性と関係が深い。外来種や雑種は5ヵ月あれば110〜120キロに成長するが、在来豚は50〜60キロに育てるのに7ヵ月かかる。そのうえ、外来品種1頭分の肉を得るために2頭屠殺しなければならない。追加コストが発生する。

ユンさんによると、白色の外来品種豚の1頭当たりの価格は約40万ウォン。在来豚は1頭当たり約30万ウォンだ。ユンさんは、「1キロ当たりの農場の出荷価格で見ると、在来豚が1.5〜2倍高い。ここに屠殺費用が加わる」と話した。また、「デパートや大型マート、江南(カンナム)の有名レストランもすべて行ってみたが、価格が合わないため売れなかった」と語った。そのうえ、在来豚の毛は海外品種の豚より太くて深く入り込んでいるので、屠殺の温度がほかの豚よりも3℃ほど高くなければならない。

▼持続的な品種改良が必要

専門家たちは、「経済性に関係なく、固有の在来豚の品種は守らなければならない」と口をそろえる。畜産科学院のキム・ヨンファ博士は、「経済性は合わなくても、在来種が持つ固有の特性を保存するという点で品種を守らなければならない」と強調した。また、在来種は新しい品種を作り出すのに必要な「基礎素材」の役割も果たす。「在来」や「地産」という言葉には、「数千年の歳月を経て韓半島に来た品種」という文化的価値も含まれている。

畜産業界は、在来豚の味を維持し、大きくする方向で改良されるべきだと見ている。肉質が良く、病気にも強い在来豚の長所は生かし、収益性に関わる大きさと成長速度の問題を解決する方向で接近すべきということだ。幸い、このような努力の結果が最近少しずつ現れている。昨年末、畜産科学院が開発した改良種「ナンチュクマットン」が代表的な例だ。この豚は、外来種の豚とは違って、全体の脂肪が良く、三段バラや肩肉だけでなく、すべての部位を焼肉用にできる。

専門家たちは、韓国がこれまで韓国牛に比べて豚の品種改良に積極的でなかったことを指摘する。韓国牛は持続的な品種改良のおかげで、1974年に290キロだった平均体重(18ヵ月齢の水牛)が2015年現在、550〜560キロになった。

豚の種子開発は、主に「漢方豚」や「ニンニク豚」、「緑茶豚」など飼料を利用して美味しい豚を作るための努力が中心に行われた。ある豚農家の主は、「餌では豚の味を差別化するのに限界があり、最近は品種に神経を使っている。今は『種の戦い』に努めなければならない時だ」と強調した。

ともかく、政府も在来豚の品種を守って新しい品種を開発する努力を始めたことは、肯定的に評価される。