
イランの核交渉の成立は、北朝鮮にも少なからぬ衝撃を与えたとみえる。北朝鮮も、核兵器の保有か廃棄かをめぐって長い間そろばんの玉をはじいてきたが、結論は常に「核保有」だった。イランの核交渉が成立した前日も、国連の北朝鮮代表部のある関係者は、「核放棄はありえない。6者協議にも関心がない」と話した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記はなぜイランのハサン・ロウハニ大統領の道に続かないのか。その5つの理由を分析した。
①核保有は金氏一族の遺訓
北朝鮮はこれまで、核兵器開発を金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記が一生を捧げた業績であり遺訓だと宣伝してきた。金第1書記が核を廃棄するには、この「足かせ」から解かなければならない。しかし、これは政権4年目に入ったばかりの金第1書記にはほぼ不可能なミッションだ。金第1書記の権力は依然として不安定だ。3年間、粛清を進めたが、金正日時代の人々が依然として北朝鮮指導部の核心だ。彼らは、たとえ金第1書記が核廃棄を決心したとしても、多くの理由を挙げて金第1書記を説得するだろう。
②経済問題よりも体制の保障が目標
核開発の放棄によって北朝鮮とイランが得ようとする目標もまったく異なる。イランの最大の関心は経済制裁の解除だが、北朝鮮は金第1書記体制の保障が最大の目標だ。主要産油国であるイランは、核開発を強行して受ける経済的損失が莫大だが、北朝鮮は失うものが多くない。核兵器がなくてもイランは国家存立に問題はないが、世界最強の米軍、韓国軍と対立している北朝鮮は、核兵器がなければ比較できない軍事的劣勢に置かれることになる。
③世襲と民主政権の違い
北朝鮮とイランは、リーダーシップの形態もまったく異なる。権力を継承した金第1書記は、事実上終身政権だが、イランの大統領は4年重任制だ。選挙を通じて大統領を選ぶ民主国家は、政権が変わるたびに政策も変わる。一方、北朝鮮は政策を繰り返し、失敗の責任が最高責任者に課される。
④核兵器放棄の補償に対する疑念
イランと違って北朝鮮は核兵器保有国であることを主張してきた。このため、核兵器の廃棄に対する補償要求も経済制裁の解除に焦点を合わせたイランよりも大きくなるのは当然だ。体制の保障が目標である北朝鮮は、以前から核開発放棄の前提に在韓米軍の撤収と米朝国交正常化、韓半島平和協定の締結、すべての制裁解除などを要求している。さらに、数百億ドルの経済補償もプラスアルファと考える可能性が高い。しかし、米国がこの要求を聞き入れると北朝鮮も信じていない。
⑤核圧迫より恐ろしい人権弾圧
北朝鮮は、世界最大の人権弾圧国という汚名も受けている。金第1書記が核を放棄したとしても、人権状況が改善されない限り、北朝鮮に対する国際社会の圧迫と制裁は続く可能性が高い。北朝鮮の人権状況を国際社会の要求に合わせれば、金正恩体制は維持し難い。金正恩体制の立場では、人権よりも核廃棄の圧迫を受けているため経済が疲弊していると国民を説得する方がはるかに容易だ。






