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地域住民が信用していたセマウル金庫の専務、犯罪用通帳組織の一味だった

地域住民が信用していたセマウル金庫の専務、犯罪用通帳組織の一味だった

Posted June. 23, 2026 08:13,   

Updated June. 23, 2026 08:13


2024年9月4日、大邱市達西区(テグシ・タルソグ)にある梨谷(イゴク)セマウル金庫に突然、検察の家宅捜索が入った。この金庫が発行した数十冊の預金通帳が、ボイスフィッシングなどの犯罪に利用されていた疑いがあるというものだった。これらは他人名義を借用したり、架空会社を設立したりして開設された犯罪用の口座だった。職員が10人あまりの小規模な金庫は、一時騒然となった。

翌日、金庫の実務を統括するイ・ヨンファン専務(仮名・52)は密かに動いた。携帯電話を取り出し、家宅捜索令状を撮影したのである。その写真は直ちに「ク社長」へ送られた。ク社長とは、犯罪用口座の流通組織を取り仕切るク・テヨン(仮名・48)だった。数日後、ク氏と外で会ったイ氏はこう警告した。 「『われわれ』が作った犯罪用口座が捜査対象になっている」。 捜査の包囲網が狭まりつつあるその瞬間まで、金庫幹部は犯罪組織と一体となって行動していた。

梨谷セマウル金庫とク氏の組織が3年8カ月にわたって共に作り出した犯罪用口座は計126口座に上った。不法賭博サイトを含むさまざまな犯罪に利用された。ボイスフィッシングの被害申告によって口座が凍結されると、イ氏は通報者の連絡先をク氏に渡した。ク氏は通報者を脅して申告を取り下げさせたという。「どのような状況でも凍結されない口座」との評判が広がり、犯罪用口座は飛ぶように売れた。後に検察に逮捕されたク氏は、「犯罪用口座を買いたいというところがあまりにも多く、需要にまったく追いつかなかった」と供述した。

梨谷セマウル金庫は氷山の一角に過ぎない可能性がある。最近5年間(2021~2025年)に全国でボイスフィッシングに利用され、金融監督院に登録された法人名義の不正口座2万4259件を全数分析した結果、セマウル金庫や単位農協(地域農協)など第2金融圏で開設された口座の割合は、2021年の19.1%から昨年は46.8%へと急上昇した。一方、市中銀行など第1金融圏の割合は低下した。

中でも、単位農協とセマウル金庫で開設された犯罪用口座が圧倒的に多かった。両者は地域住民の出資によって設立された独立系の協同組合であり、中央会による統制権限が比較的弱い。市中銀行が法人口座の開設時に、法人が実際に事業を行っているかを現地で確認する「実査」などの審査を強化すると、犯罪組織は審査の甘い相互金融機関へと標的を移したのである。

東亜(トンア)日報ヒーローコンテンツチームは、梨谷セマウル金庫事件の判決文と内部関係者の証言を基に、司令塔不在の第2金融圏が犯罪の温床となった過程を追跡した。