解散された統合進歩党(統進党)所属で議員職を失った李相奎(イ・サンギュ)と金美希(キム・ミヒ)前国会議員が昨日、4.29補欠選挙への立候補を宣言した。今回の選挙は、憲法裁判所(憲裁)の統進党解散決定によって欠員ができた地域区の議員を新たに選ぶ選挙だ。彼らが補欠選挙に出ることに、法的問題はない。しかし、憲裁の決定で議員職を失った人たちが、それによって実施される補欠選挙に立候補するのは、憲裁が、「民主的基本秩序を破壊しようとする危険性」を取り上げて、統進党を解散した趣旨に合致しない。
このような事態は、政党解散による後続措置を取り扱った詳細規定が無い上、政治圏も後続措置を作らなかったために起きた。憲裁は、統進党解散の決定と同時に所属国会議員の資格を剥奪したが、地方議会議員の資格は剥奪しなかった。実は、統進党国会議員の資格剥奪も明示的根拠は無い。憲裁が政党解散の趣旨を解釈して決定したのだ。
ドイツは1952年、連邦憲法裁判所がナチス性向の社会主義帝国党(SRP)を解散したとき、明文規定がなかったにも関わらず、所属政党の連邦議会や州議会議員の資格を剥奪する判決を下した。その後、連邦選挙法を改正して、議員職剥奪や被選挙権の制限を巡る規定を導入した。与党セヌリ党の金鎭台(キム・ジンテ)議員などは、憲裁決定の1年前にすでに解散政党の国会議員や地方議会議員、地方団体長の資格を剥奪し、10年間、被選挙権を制限する公職選挙法の改正案を提出したが、いまだ、国会で審議されずにいる。
政治圏は、今でも法的に不足なことを補完しなければならない。地方議員の資格剥奪問題は今すぐ法律を作っても、遡及して適用するのは難しい。しかし、解散された党の国会議員や地方議員の被選挙権を一定期間制限する法律は、急いで作らなければならない。そうしなければ、違憲政党として資格を剥奪された議員らが、再び国民の審判を仰ぐと出てくる事態はなかなか防げない。統進党と名称が同じだったり、綱領が同じかまたは似ていなければ、類似の政党を作ることも防げない。
李相奎と金美希前議員が立候補しても、再び野党圏が連帯しない限り、当選する可能性はほぼない。彼らは少しでも票を獲得して、憲裁の決定を傷つけたいのだろう。しかし、彼らの立候補で全体的な選挙構図が歪曲される可能性が高い。与党セヌリ党は、彼らが立候補すれば、野党圏票が分裂され、漁夫の利を得るだろうと★、法的に足りない部分の補完を見合わせたかもしれない。与野党は憲裁の違憲政党判決の趣旨や国民の法的感情を考慮して、彼らの被選挙権を制限する法律をまとめなければならないだろう。






