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強力な挑戦者、アマゾンフォン

Posted June. 30, 2014 08:25,   

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1994年夏、妻が運転していた1998年式のシボレー・ブレイザーの助手席に乗り、シアトルに向かっていた彼の頭の中には、インターネットが世界を変えるだろうという確信があった。高額の年収を受け取っていたウォールストリートのヘッジファンド会社に辞表を出したが、未練など無かった。同年7月、韓国式で言えば「スリスリマスリ」と同様の「カダブラ」という商号を、ワシントン州に登録した。その翌年、その名をアマゾンドットコムに変えた同社は、魔法にもかかったかのように、成長を繰り返し、世界最高の電子商取引会社であり、情報技術(IT)会社となった。

ネット上の書店で事業を開始してからちょうど20周年になる今年7月、アマゾンが再び、意味ある試験台に上る。7月25日、初の携帯電話のファイヤーフォンの販売を開始する。ファイヤーフォンとは、常に他人より安い価格を競争力の源にしてきたアマゾンが発売する初のプレミアム製品だ。

先月18日(現地時間)、紺色のジャケットにジーンズ姿で登場したアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営者(CEO)は、1時間以上も、彼ならではの高笑いを交えながら、ファイヤーフォンについて紹介した。自信満々だった。株価の下落やコンテンツ業界との争いなど、今年、アマゾンを巡る悪材料はたいしたものではないような気がした。

しかし、発表直後、市場や業界の反応は否定的だった。649ドル、2年間の約定時は199ドルという高い価格で、アイフォンやギャラクシーS5とも競争できるだろうか、という指摘が多かった。アプリケーション(アプリ=応用プログラム)数字が、アンドロイドやアイフォンの5分の1レベルだということも、弱点といわれた。

実は、携帯電話市場は最近、最も競争の激しい市場のひとつだ。製品そのものの革新は、これ以上出てくるものなど無いという見方も出ている。フェイスブックが、携帯電話を発売したが失敗し、グーグルも、モトローラを買収したが、2年後に中国のレノバーに売却した。

20年間、アマゾンは、電子書籍のキンドルやタブレットPC、アマゾンウェブサービス(AWS)など、発売する製品はもれず、大ヒットしてきた。果たして、ファイヤーフォンの未来はどうだろうか。

その答えは、客にあるように見える。ファイヤーフォンは、単なる携帯電話ではない。電話の機能を備えたショッピングツールに近い。「ファイヤーフライ」は、ユーザーが商品を見ていて、電話の側面についているボタンを押せば、クラウド機能を通じて、自動的に認識し、アマゾンから直ちに購入させる。この20年間、アマゾンは、客が安価な品物を便利に購入し、早く受け取らせることに集中してきた。すでに、「ワンクリック」で、世界で最も簡単なショッピングの経験を提供してきたアマゾンが、モバイルシッピングからさらに一歩進んだ機能を打ち出したのだ。

ファイヤーフォンの当初の発売価格に基づいた否定的な予測は、早合点な面がある。確かに価格はすぐ下がるだろうからだ。むしろ、2億5000万人に上るアマゾンのロイヤルティーの強い客に注目しなければならない。

アマゾンの電子商取引売上げの3分の2は、リピーターによるものだ。「アマゾンぞっこん」と呼ばれるだけの、年会費99ドルを別途に払っているプライム客だけでも、2000万人に上る。彼らの10分の1だけが購入しても、200万台に上る。さらに、携帯電話で提供されるアマゾンの数々のコンテンツまで…。

三星(サムスン)電子とアップルは、強力な挑戦者に直面している。