朴槿恵(パク・クンへ)大統領は4日、ロシア・サンクトペテルブルクに到着し、7泊8日間の海外歴訪を開始した。朴大統領は、5日と6日の二日間、主要20ヵ国(G20)首脳会議に出席する。多国間外交へのデビュー舞台となる。
今回のG20首脳会議は、「世界経済の成長と良質の雇用創出」というテーマのもとで行われる。5日、出席首脳らのための歓迎行事で、公式日程が始まり、6日、G20首脳宣言文を採択して閉幕する。
最も重要な議題は、景気刺激策を打ち切る量的緩和で代表される米国の出口戦略と、これによる新興諸国の経済危機問題だ。08年のグローバル金融危機後、資金を供給して景気を刺激してきた米国が、今月から資産買い付けなどのやり方で、ドルの回収に乗り出すものと見られ、これについて、中国やブラジルなどの新興諸国は、「基軸通貨の発行国の米国は、急激な通貨政策の変化を推進してはならない」と反対している。そのため、今回のG20会議で、先進諸国と新興諸国との激しい攻防が予想される。
これに関連し、朴大統領が2度の演説を通じて発信するメッセージに注目が集まっている。米国などの先進国が、出口戦略に踏み切り、新興諸国との間で起きている対立や世界的高失業、不均衡成長への対策を示す計画であるからだ。大統領府の関係者は、「朴大統領のメッセージは、メンバー国からどれだけの共感を得られるのかが見所だ」と話した。
朴大統領の初演説は、5日午後(現地時間)開かれる「成長と世界経済」をテーマにしたセッションで行なわれる。朴大統領は、先進国には、「米国の出口戦略は新興国の経済危機につながりかねず、慎重を期すべきだ」というメッセージを、新興国には、「経済的な外部衝撃を食い止めるセーフティネットの確保に向け、マクロ経済を安定的に運用する健全性措置が求められる」ことを一緒に強調するだろうと、大統領府は明らかにした。
すなわち、世界経済の危機要因を最小限にとどめるため、先進国と新興国との緊密な協力が必要なことを強調し、架け橋の役割を果たすという構想だ。朴大統領の5日の演説は、先進諸国の首脳らの発言が終わった後、新興国首脳らの発言が開始される前に行われる予定であり、朴大統領の演説が、メンバー国の共感を引き出した場合、成功的な「中堅国外交」の足がかりになりうると期待される。
朴大統領は6日午後、「雇用創出と投資」をテーマに行われるセッションでは、「先導的発言(lead speech)」を通じて、韓国政府が実施している「雇用率70%のロードマップ」を紹介する。また、「国際通貨基金(IMF)や国際労働機関(ILO)などは、世界的高失業や不均衡成長の原因とその解決策を、来年のオーストラリアでのG20会議までにまとめなければならない」と強調するだろうと、大統領府は明らかにした。
雇用創出のテーマは、会議議長国・ロシアが、強い意欲を見せながらアジェンダに含め、別途のセッションまで設けており、朴大統領に対し、取り立てて先導的発言を要請してきたと、趙源東(チョ・ウォンドン)大統領経済首席秘書官が伝えた。朴大統領の発言への共感が出来上がれば、雇用創出の話題は、次のオーストラリアでの会議の時まで続くモメンタム(きっかけ)が整えられるだろうという説明だ。
大統領府は、朴大統領の先導的発言について、「10年、ソウルでのG20首脳会議以降、徐々に影響力が弱まってきているG20の存在感やその機能を引き上げる『促進者』の役割を、韓国が引き受けるという意志やそれへのメンバー国らの期待が一緒に反映されている」と述べる。
朴大統領は、ロシア訪問期間中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相、イタリアのエンリコ・レッタ首相、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領の4ヵ国首脳と、それぞれ二国間会議を行う。






